2009年4月29日水曜日

ごめんねヨーヨー


 家の近所の子供はいつも僕の家の庭で遊んで帰りますが、一人ヨーヨーという男の子が今ます。

今思えば、最初にヨーヨーがウチの庭に進入してきて、僕ら二人が遊んでいるのを周りの子供が見て、少しず

つ子供が増えていき、今は収拾がつかなくなった気がします。
 
 ヨーヨーは一人でいつもフラフラしていて、たまに友達と遊んでいるときもあるけど、一人でいることが多く、ウチに遊びに来ても、子供がたくさん集まってきて、騒がしくなると、自分はフラッと次の遊び場所に消えてしまいます。
 
 きっと血液型はO型だと思います。
 
 ウチは道の突き当たり見たいなところにあるので、ベランダに座っていると、ヨーヨーが50メートルくらい先から家に向かって遊びに来るのが見えます。
 
僕に見られるのが恥ずかしいらしくて、こちらに気がつくと、恥ずかしさを紛らわすために、太股を二回タンタンと叩いてから胸を二回タンタンと叩きます。スキップするような感じでそれを繰り返しながら、ヨ
ロヨロと小走りで家に近ずいてきます。
 
 そして僕が

「ハロー、ヨーヨー」

と言うと恥ずかしそうにポケットからミカンの切れ端とか、木の実とかを出してきて、僕にくれます。

 砂埃とヨーヨーの手垢で汚れたミカンは食べたく無いけど、喜んだ振りして、あまりよごれをチェックしないようにして一口で口に掘り込みます。汚れを見てしまうと食欲が落ちるからね。
 
 またあるときはフラフラとこちらに向かって走ってくるので何してるのかな?って思って観察してると、道に落ちている落ち葉を全部踏みながら走ってきていました。
 
 次の日には僕に見つかると、木の陰に隠れながら近づいてきました。

 ある日バスケットボールのコートであったときには、いきなりこっちに来たと思ったら、手のひらの中を覗けというので見てみたら、中にバッタが10匹ほど入っていました。
 
 何するのかな?って思ってみていたら、それをバスケットコートの真ん中において、自分はその周りをアラレちゃんのキーン(ごめんね古くて)のようにクルクルと走り回っています。
 
そしてバッタが飛んでヨーヨーの走っている外に出ようとすると、慌てて捕まえて、また真ん中に戻します。次々にバッタが飛び出すと、うれしそうにそれを捕まえて、また真ん中に戻します。
 
 それをずっと続けていたら、高学年の子達達が自転車でコートに進入してきたので、慌てて逃げていきました。ちなみにヨーヨーは小学校一年生です。
 
 二人で木に登った時には、ヨーヨーは一人で降りれなくなって、
 
「僕達どうやって下に降りるの?」

って聞いてきたので

 「ヨーヨー降りたいの?」

って聞いたら、太股をタンタンと叩いてから胸をタンタンと叩いて照れくさそうにニヤッと笑ったので、手をつないで下ろしてあげました。
 
 焚き火をするのが大好きで、僕が焚き火をしようとマッチを持ってくると、どこからとも無く、落ち葉を持ってきて、とても上手に火をつけます。

 いつも額に汗を浮かべながら、一生懸命に種火と落ち葉に息を吹きかけています。
 焚き火を大きくするのが好きみたいで、ほかの子供と競って落ち葉や枯れ木を集めてきます。

 あるとき一緒に焚き火をしていたら、ヨーヨーが隣の家の焚き火の燃え残りを持ってきたので、バヌアツではそんなのあまり気にしないけど、僕はなんとなく気になったので、

「それは隣の家のだから持ってきちゃだめだよ」

って言いました。

ヨーヨーは自信なさげ微笑みながらに小さく頷いたけど、しばらくするとまた隣の家の薪を持ってきたので、 

「ヨーヨーどうしたの?それ持ってきちゃ駄目だよ」

って言うと、隣にいた同級生のポワスが

「ウラ、ヨーヨーは耳が悪いんだよ、だから話すときは大きな声で言ってあげないと聞こえないんだよ」

と言って、ヨーヨーに

「マキを戻して来いってウラが言ってるよ」

って大きな声で伝えました
 
 今まで2ヶ月も毎日のように遊んできたのに、自分がそんなことも気がつかなかったのかと思うと、マキを戻してきたヨーヨーに悪い気がして、心の中で

「ごめんねヨーヨー」

って謝りました。
 
そんなこと気にしないで、焚き火をしてるヨーヨーを見ながら、今までのヨーヨーのいろんな行動を思い出して、納得しました。

 言葉の不自由な僕と耳の不自由なヨーヨーはよい遊び相手だったことに気がつきました。
 
 それから一週間、小学校一年生のヨーヨーにもし補聴器があったらどうだろう?って考えました。幸いヨーヨーの耳は少し聞きとりにくいだけで、まったく聞こえないわけではないみたいです。もしかしたら片方だけが聞こえないの知れません。
 
でもいくら性能のよいものでも3年ほどで電池は切れてしまうだろうし、その後電池ってこっちで買えるのかな?

もしも3年で壊れて、小学校三年生でいきなり補聴器無くなったら、ヨーヨーはどんな気がするのかな?
 
でも今一年生だからこれからどんどんほかの子供と学力の差がついていってしまうのなら、補聴器は早ければ早いほうが良いかも。 

でもそれで周りの子供にいじめられたらどうしよう?そんなの気にしないのかな?

でもバヌアツには目の悪い子供や、耳の悪い子供はたくさんいるから、ヨーヨーの補聴器の話を聞いて、たくさんの親が、僕のところに尋ねてきたら僕は対応しきれないし、やっぱりやめたほうが良いな・・・
 
 って思って今週が過ぎていきました。
 
 そして今朝、朝の6時半からうちに遊びに来たポワスと一緒に、6時から出るはずの水がまだでないから、顔も洗えないね~などと話しながら水の出るのを待っていると、ノイラという学校の先生がパンを買いにストアーに行くのが見えました。
 
ポワスが、

「ウラ、あれがヨーヨーのかーちゃんだよ!」

って言ったので、少し驚きました。
 ノイラは僕が巡回してる学校の先生だし、ヨーヨーもそこの生徒だし、あの二人がこんなところでつながってるとは!と思いました。
 
 夕方にノイラが仕事終わって家に帰る途中にまたあったので、思わずノイラに

「ヨーヨーは毎日ウチに来て一緒に遊んでくれるし、とっても良い子だから、僕は大好きだよ、左利きは頭が良いって言うから、きっと彼も頭が良いよ」

って伝えました。ノイラは

「ヨーヨーがウチにいないときはいつもウラの家に居るって私は知ってたわ、でもヨーヨーは少し耳が悪いから、それが心配なのよ」

と言ったので

「それは少し残念だけど、僕はヨーヨーは頭がいいと思うし、今朝ポワスからノイラの子供だって聞いて驚いたよ、今まで知らなかったからね」

って言ったらノイラが

「実はきちんと話すとね、ヨーヨーは私の子供じゃないのよ、ヨーヨーの母親はヨーヨーが小さいときに病気で亡くなって居ないから、私が彼の面倒を見ているだけなの」

と教えてくれました。

僕は一瞬固まってしまって何もいえませんでした。ヨーヨーはノイラが本当の母親じゃないって知ってるのか聞こうかと迷ったけど、ヨーヨーに家族のことを聞くといつもあやふやな答えしかしなかった所をみると、おそらくヨーヨーは知ってるんだと思います。

 もしかしたら家に居ずらいから、毎日僕のところに来るのかな?とも感じました。

 夕方にいつものようにウチに来て友達と一緒にビー玉を転がして遊んでるヨーヨーを見て、ちょっとだけ切ない気持ちになりました。
でもそういう目でみてあまやかすのが一番いけないし、ヨーヨーはこれから一生ここで育っていくのだから、僕が二年間だけ補聴器つけさしたり、ほかの子供よりかわいがって甘やかしたところで、そんなの何のプラスにもならないことがなんとなく理解できたので、この気持ちはヨーヨーには伝えずにブログに書くことにしました。
 
「ごめんねヨーヨー、何もしてあげれないよ、でもこれからも毎日一緒に遊ぼうね!」

 これが今週の僕の出来事でした。
  
 写真はヨーヨーです、無邪気な笑顔とセクシーなTシャツとがアンバランスで憎め無いのが彼を物語っていて素敵です!

2009年4月27日月曜日

信じる力


「ウラの首にいつもついてるそれってなんなの?」 

「うーん!なにかなー?説明するの難しいけど、
まあしいて言えばこれをつけてると疲れないんだよ。」 
 
「どんなとき?」  

「どんなとき?うーん、走るときとかかなー」  

「スッゲー、じゃあ試させて!」  
って言われて僕の首からファイテンを取ってファンドリックが校庭約300メートルを
全力疾走して戻ってきました。
そして一言 

「凄いよこれ!全然疲れない!」  
 
っていつの何と比べて言ったのかわからないけど、

それを聞いてみんなが超興奮状態に陥って、  

「次は俺!」 

ってネイサンが言ったらファンドリックが、 
 
「二人一緒に走らないと疲れるかどうかわからない」  
 
となんとなく筋の通ってそうなでも違うような提案したので、

ネイサンの後ろにヨーヨー、

サックが着いてその後ろにデイビッドも自転車で着いていって、300メートル全力疾走!

予想どうりネイサンがヨーヨー、サックをぶっちぎって戻ってきました。
 
帰ってきたネイサンがまた何を根拠に言ったのかわからないけど、 
 
「ヤバイ、まったく疲れない」 

って言ったので一同また興奮の渦!  

後ろから疲れた顔して戻ってきたヨーヨー、サックをみんながみて、

早くそれをヨーヨーに付けさせないと息が苦しそうだ! 
 
と言い出して、ネイサンの首からもぎ取ってヨーヨーの首につけて 
 
「ヨーヨーどう?元気になった?」 
 
「ヤバイ、息が楽に出来る」 
 

「ウオー!次は俺!俺!」
 

って10人くらいで順番に着けて順番に校庭を全力疾走してました。 

嘘をついたわけじゃないけど、解釈の仕方でこうなちゃうんだなー! 

 信じる力って凄いなーって思いながら苦笑いした放課後でした。 

 写真は左からサック、ネイサン、クレガーです。







優しいシャボン玉



夕方にちびっ子メンバーが騒がしいと思って外に出てみると、ナッシーが空になった




ツナ缶の容器に洗剤を溶かしてその中にパパイヤの枝を突っ込んでストロー代わり




にして、シャボン玉を作っていました。 




ナッシーが立っているのはオータータンクを載せる為の足場のようなもので




3メートルほどあります。 




下に居るメンバーは降って来るシャボン玉を一生懸命に取り合っています。 




 しばらく見ていてから、




志村ケンがやっていたみたいにシャボン玉を食べるまねをしてみよう、




と思って僕もみんなの輪に入って落ちてくるシャボン玉を掴んで食べる振りをしてみました。 




 子供たちはみんな驚いて




「ガーラ!ウラがシャボン玉を食べている!」




「ウラの国ではシャボン玉は食べ物なの?」




って言われたので




「そうだよ、美味しいんだよ、ナッシー!俺はお腹が減ってるからドンドン作ってよ!」 




って冗談で言ったら、クレガーがみんなに




「今ウラはお腹が減っていてシャボン玉を食べているから、




みんなはシャボン玉を壊してはいけない、ウラに優先的に食べさせろ!」 




と言うとみんなも




「それはもっともな話だ・・・・」 




と言って僕から離れて僕がシャボン玉を食べる振りをしているのを遠まわしに 




「スッゲー!」 




っと言って観察していました。




僕は思わぬ展開に少し戸惑いながらどのタイミングで嘘だと伝えようかな?




って迷っているとみんながナッシーに




「ナッシー、ウラはお腹が減っている、もっと早く作れないのか?」 




そして、焦るナッシーに我慢できずに、サック、クレガー、フーソフィー




が足場に登ってナッシーから缶をとりあげました。 




僕はだんだんと本当のことを言い出せなくなって、




とりあえずおなかがいっぱいになったから大丈夫だ。と言いました。 




「本当に一杯になったの?大丈夫なの?遠慮してない?」




と上に登った三人は心配そうなのか残念そうなのかわからなかったけど、




とりあえずそういうことなら俺達も食べてみようと言う事になり、




みんなで必死に食べていました。 




みんなが何処まで信じていたのかはわからないけど、




まさに半信半疑というかんじだったと思います。 




でもそういうときの子供達の優しさってとてもうれしいものです。




お腹は一杯にならなかったけど、胸は一杯になりました。 




 写真は必死に僕に餌を与えている時のナッシーです。  
















2009年4月26日日曜日

毒キノコの帽子

クウィンティル(写真左)とクリンクリン(写真右)という可愛い名前の二人が朝早くに家に来ました。

「ウラー!バロン(ボールのこと)に空気をいれてよー」



「オウ!入れてあげよう!」



子供のボールに空気を入れてあげるのは僕の大事な仕事の一つです。


でも必ず僕が入れます。


子供に入れさせると必ず入れている途中で



「俺にもやらせて!」



と言ってボールの取りあいが始まって、そのたびにピンが曲がったり折れたりしてしまうからです。



すでにピンのスペアーは無いので、ボールの空気を入れるときだけは少しだけ神聖な感じで、これは大



人が行う難しい作業なのだ、と言うふうに、眉間にしわを寄せながら入れます。



子供たちは僕のそういった雰囲気をみて、今暴れるのはタブーなのだ



と感じてくれるみたいです。  



クウィンティルが


「ウラー、いっぱい空気を入れて大きくしてよー」



と言うので、こちらも眉間のしわは崩さず、でも少し張り切って入れましたもうこれ以上はありえないくら



いにパンパンに膨らんできたバロンをみて3人の興奮が絶頂に達した時に



「ボカン!」



という凄まじい爆音が僕らの立っていた玄関から部屋の中にコダマするように響きました。




3人とも一瞬何が起こったのかわからずに放心状態でした。




空気の入れすぎでバロンが割れてしまったのです。 



2人のちょうど目の前で突然爆発してしまったバロンをみて、ぼくが



「ゴメンネ、ゴメンネ」



とあやまると、凄まじい爆音にすっかりビビッタ2人は、言葉も出ないまま目を見開いて僕を眺めていま



したが、とりあえずウラが謝っているのでここから去ったほうが良いのでは?



と感じたみたいで、壊れたバロンを恐る恐る拾い上げて無言でゆっくりと家の方向へと戻っていきました。



歩き方すら思い出せないほどビックリしたみたいで、一列に並んで歩いていく2人の後ろ姿は右手と右



足が一緒に出てしまっているようにも見えました。  



 それから二時間後・・・



トントンとドアをノックする音が聞こえるので出て行っみるとなんと2人が満面の笑みで立っています。



「ウラ、僕達の新しいキャップ見てよ!」



と壊れたバロンを2人で半分ずつかぶっていました。



キャップとして使えることに気が付いたことがうれしかった見たいで、



僕に見せに来てくれたみたいでした。



「今カメラを持ってくるから待っててね」



「やったー、フォト!フォト!」



と言って喜んでいる時の写真がこれです。



日本だったら捨てられてしまうかもしれない壊れたボールで新しい遊びを発見し出来る子供の想像力は頼もしく感じます。



毒キノコみたいで気持ち悪いですが、



僕がバロンを壊してしまった事に責任を感じていると思って気を使って2人で見せに来てくれたのかな?



とも感じました。