2010年12月17日金曜日

ビザとヒザ

 実は五週間前のスコットランド、朝の7時に実は事件は起こっていました。

 古着の回収にイングランドから一日かけてスコットランドに行き、

 一人で泊まったホテルを朝の5時に出発、

 その日は行きと別ルートで古着を回収しながらイングランドに戻ります。

 
 初日はスコットランドまで15時間のドライブ、

 今日中に絶対にイングランドまで戻りたい。

  そういう気持ちで仕事が始まったばかりの朝の7時、

 AKストアーという店の場所が見つからない、

 スコットランドの朝の7時はまだ真っ暗です。

 車をとめて道を確認しながら歩いている時、

 自分の車が静かに自分を抜かして行きました。

 大した道でもないのにサイドブレーキが利いていなかったみたいです。

 あわてて車の前に回って体でとめようとしましたが、

 日本でいうとエルグランドよりもう少し大きいバンは

 たとえ中身が空っぽでもなかなかとまりません。 

 民家の壁まで残り4メートルであわてて運転席に回ってドアを開けようとしたけど、

 鍵穴に上手く入らない。

 残り2メートル、壁を足で蹴りながら全力で踏ん張りましたがついに残り30センチ、

 スローモーションで車が壁に激突する瞬間、

 僕は対して迷うことなく自分の左足を壁と車の間に挟み込みました。

 車は静かにとまりましたが、その時に少しだけ壁と平行して進んだので、

  僕の膝は少しだけ壁と車の間でねじれてしまいました。

 「プチッ」

 っていう音と膝の関節が少し開く感覚があったけど、

 誰も知り合いのいないスコットランドの真っ暗な朝の7時に

 自分の車が民家の壁に激突することを考えたら、

 このくらいの緩やかなスピードなら足一本で何とかなるだろう。

 って思ってました。

  激痛と朝一番で血管が切れるほど踏ん張りすぎ為のめまい、

 ズボンの下に防寒の為に履いていた

 、ナイキのスポーツ用のタイツに血がにじんで冷たい感覚が残りましたが、

 一分くらい息を整えながら膝をさすっていると、家の中に人影が・・・・

 「せっかく体を犠牲にして激突を防いだのに、

 ここで何か疑われたら意味が無くなってしまう、

 何としても今日はイングランドに戻りたい」

 その一心であわてて車に乗り込み車をバックギアに入れるために

 左足でクラッチを踏もうと思いましたが、

 足の筋肉を動かすと痛みが走るので、

 腰全体を前に押し出して、

 足は棒のように曲げも伸ばしもせずに固定したままクラッチを踏みました。

 50メートルほど車を動かして、車を道の左側イギリスは日本と同じ左側通行です)

 に動かして、

 そのまま痛みが引くまで足をさすりました。

 本当だったら冷や汗が出る感じだけど、スコットランドの朝は寒いので、

 寒さと痛みが全身に響きます。


  「やばい、でもなんとか乗り切った」

 そのあとは足の踏ん張りが全く効かず、

 コンテナの底に入っている古着をとるのも一苦労、

 結局500キロドライブして、夜の9時にイングランドに戻りました。

 血のにじんだスパッツは丸一日恐ろしくて傷口を確認しませんでした。

 夜に履き換えた時には渇いた皮と血がベリベリと剥がれるように脱げました。

  
 そのままカサブタが治って、膝もあまり気にならなくなり、

 サッカーをして楽しんだりしてたけど、

 先週から雪が降り出して30センチも積ったイングランドで、

 一週間雪の上で長靴を履いて募金のマガジンを売っていて、

 痛みがないから甘くみてたら、週末に膝にものすごい勢いで水が溜まって、 

 二倍になってしまいました。

  地元のパトリングトンという病院に行ったら、

 「ここでは無理、ハルという大きな町に行って」

 ハルでは

 「今日は無理、明日に隣の先生が判断を下します」

  次の日の隣の先生は

 「僕では無理、膝のスペシャリストにみてもらって、
    一週間以内にこちらから次の予約のお手紙が行きます」

  ってことで、一週間も待ってたら腫れも引くだろう。

 って思いながらもとりあえず待ってます。

 
 
 一方そしてアンゴラ行きのビザのほうは

 どうしても今年中に旅立ちたいメキシコ人エリックが

 ロンドンのアンゴラ大使館まで片道5時間かけて

 確認にいったら、

「二人のジャパニーズ、一人のコリアンはビザが下りてる、

   一人のメキシカンがまだだね!」

 って言われて、がっくり、基本的には4名そろって出発だからね。

 僕は膝のこともあって少しニンマリ!

 とりあえず様子見ます。

 たぶん全十時の片方が切れたと思うけど、

 どうせ膝の靭帯は半分くらいはフットボールで無くなってるから

 今更なんてことないです。とりあえず腫れが引くまで待ちますね。

 ビザとヒザ、この10回クイズになりそうな

 二文字の言葉が僕の出発の足を引っ張っています!

 実はあんまり膝のこと書きたくなかったのだけど、ネタがなかったし

 ビザとヒザっていう題名を思いついたら書きたくなってしまいました。

  でも心配しないでください。この二日で大分良くなりましたので!