2012年5月6日日曜日

タンナ島派遣中止宣言

僕が2年間少し遅い青春を過ごしたバヌアツ共和国タンナ島!

隊員の派遣が打ち切りになってしまいました。

窃盗団が隊員の家からものを盗みすぎたみたいです。

僕がもっと体育の授業中に規律とかフェアプレー精神とか

表現できればよかったのかもしれないけど、まあそれは仕方ないこと

被害にあった隊員は本当に気の毒で、タンナ島の為に! って思って人生の大切な

2年間をささげるつもりで行ったのに、嫌な思いをしたのだろうからこちらもかわいそうに

なります。


僕らのころにも意外とものがなくなる事があったのだけど、本当に必要なもの

(パスポートくらいかな? )はチーフに言うと戻ってくるものでした。

今回もパスポートは戻ってきたみたいです。

こないだ聞いた話では過去に盗まれたレトルトカレーの日本語表示を見て

バヌアツ人が隊員に

「どうやって食べたらよいのか?」

と聞いてきたらしいです。 たぶん盗んだのはその人ではないのだろうね。


窃盗団っていうと口をバンダナとかで覆っていて、馬に乗ってるようなイメージあるけど

決してそういうのではなくって、基本的には村の若者が興味本位でやってるだけで

人を傷つけるようなことはしないものです。ようは空き巣です。

基本的には自給自足が成り立っているからお腹が減って盗みに入るわけではないしね。

  
隊員も島にすみだしてから最初の一年以内ならそれは防ぎようの無いことだろうけど

一年過ぎでたらある程度は自分で防げるものだと思います。

「あの日本人の家からは盗んではいけない」

たとえ学校に通っていなくてもお互いに認め合っていればそれくらいのことは

わかるものです。

逆に一年すぎていれば、多少のものを盗まれても、

「困ったことだけど、こっちにも隙があったな、まあなんとなく理解できる」

くらいの感覚になれるだろうし、ちょっと周りに話すと、周りがすごく同情してくれて

結局は大切なものは戻ってくるのだと思います。

そういう絶妙な感覚が島にはあるんだよね。

そこらへんはある意味では深いレベルで成り立っているんだよね。



 物を盗まれている時点で成り立っていないのでは?


 という意見もわかるけど、それは法治国家日本の常識であって

島というのは法治国家とは違うからね。

若いころは少し悪い事して、恥ずかしい思いもして、でも大人はみんなそこらへんのことは

了解済みで、ある程度まで行くときちんと制裁が下るシステムが島にはあります。

もう何百年もそのシステムでやってきたから、少しくらいのことではブレることはないだろうね。

あの島は時代から取り残されることを気にしていないし、火山が爆発しても

温暖化で水位が上昇しても、自分達で解決する責任能力がきっちりと備わってると

おもいます。

究極的に言うと自然に任せているのだろうね。

 だから協力隊の派遣の中止は現地の人たちにとっても残念だろうけど、

 協力隊の隊員である日本人がタンナ島独特の「ルール」を学ぶ機会を失ってしまった

 ことにも残念だと思います。

  すこし様子をみて少しずつ良い方向にむかえばよいと思います。