2010年6月3日木曜日

実は優しいイギリス人


 
 <写真はイギリスのどこにでもある一般的なパブです、どこも同じような感じで
  歴史を感じます。天井が高くて、ゆったりした感じです、パブによっても違い
  ますが、家族みんなでいける雰囲気があるお店が多いです、おそらくこの写真
  の店は店じまいしているためにドアが釘で打たれています>



頑固でプライドの高いイギリス人というイメージがありますが、

僕が田舎に居るからかもしれませんが、イギリス人はいたって優しく
誠実です。
 いまあるプログラムは、お金の無い国の人でも自分で募金活動をして

 お金をためてアフリカに行くことができます。だかあらみんな働きます。

 貯めるお金は6カ月で45万ほどです。勉強する週、募金をする週、

活動の週(週末に開かれるお祭りの準備や、演劇の練習をしたりする週)

と三つの週が交互にあり、今週は僕は募金の週です。

 とはいっても路上で募金を募って居ても限界があるので、

古着入れのポストみたいなものを、ガソリンスタンドやスーパーの駐車場、

パブといって、イギリスでは家族で昼間からいって、お酒を飲むだけではなく、

みんなでダラダラと時間を過ごすという、アットホームな場所がそれぞれの町にあり、

半分はお酒、半分は公民館みたいな役割をはたしています。

 もちろんそれは政府がやっているわけではなくて、

プライベートでやっているので、古着ポストを置いてくれる可能性は少し高くなります。

 ほとんどの場合は、日本と同じで、役所に聞いてもらわないとここに

ポストを置いて良いかわからない。という返事が返ってきますが。

 僕は今週は古着ポストを置く場所を探しに、イギリスの田舎町を車でいって、

パブやホームセンター、ガーデニングのお店、小さな商店などを回っています。

 日本でいると押し売りのセールスマンといったかんじです。

はっきり言って「うさんくさい」って自分でも思います。

 だって田舎町の人が集まる場所の駐車場などに無料で

幅1メートル、高さ1,5メートルくらいの鉄でできた

重たいボックスをおかしてもらって、もちろん週に一度きて、

ボックスが汚れていたら修理しますし、中にみんなが入れてくれた古着はもってかえりますが、
お店にとって利益は無し、ガストに9年間も副店長をしていた僕なら確実に断ります。


 お客がそこに車をこすったら? 

たとえ1台分でも駐車場を使われるのはお店にとって不利益である。

相手先の(僕の)組織がその活動を辞めたり、もし夜逃げでもしたときに、

その鉄のコンテナは誰が回収しに来るの?

 などと考えたら、たとえ奉仕活動で助けてあげたい気持ちはあっても、

会社に属している以上、認める訳にはいきません。その場で断るか、

本社に問い合わせてください、僕では決めかねます。

といかにも日本人らしい返事をするとおもいます。心の中では「ゴメンネ!」

って思ってますけど。


 イギリスは意外と違います。こわおもてのマネージャーや、

声が酒焼けしたようなパブの女オーナーみたいな人がでてきて、意外とあっさりと

「良い仕事してるね、あの角なら使っても良いわよ!」

などとオーケーしてくれることが結構あります。

逆にこっちが「ほんとに良いの?」って思ってしまうくらいですが、

こちらが誠実に

 「このお金はボランティアへの援助です。直接アフリカに送られるお金ではありませんが、
僕達は集めたお金を使ってアフリカでボランティア活動をしてきます。」

 と説明して、活動のマガジンなどを渡して誠実に対応すれば

「ボックスを置くことは今はむりだけど、私は5つの営業所をもっているので、

その5つにこのビラをファックスして、古着を集めてあげよう、

たまったら連絡するから、連絡先と君の名前は教えてください」

 だったり、マネージャーは今は居ないけど、シフトを確認してくるので
少し待っててください。
 
と言ってわざわざパソコンを開いて、

「金曜日の2時から9時なら居ます
 直接話せば大丈夫だと思うよ!良い仕事してるね。」

 だったり、

「このお店には置けないけど、少し古着があるから今持って行ってくれるとありがたいわ」

 と言ってくれたりします。もちろん

 「ノー!」

 って単に断る人も沢山いますが、こちらの気持ちがへこむほど多くは

なく、ほとんどの場合が断るにしても、こちらのとても気を使ってくれる

のを感じます。

 古着集めのビラを配って居る時も、

「セールス、ビラお断り、あなたの時間を無駄にしないで!」

 という合理的なステッカーが貼ってある家があったので、

玄関の前までいって、そのステッカーをみてから、そのまま立ち去ろうとすると、

中から怖そうな人が走りでてきて(イギリス人は意外と暇みたいです)
 
「お前はセールスしてるのか」

 「これは募金活動です」

 「じゃあなぜ投函しなかった、そのビラを見せてみろ」
 
 「はい、古着のリサイクルです」

 「これはセールスでは無いので、入れても良いビラだ!

しかし私は先週に他のグループに古着をあげてしまったし、

妻と二人で年金暮らしなので、もともと洋服はスリッパ2足と今着ているセーターくらいしか持っていない。

でもよい活動だ、頑張れ! ビラを無駄にしては行けないので、

今回はこのビラは君に返しておく!」

 となんともはっきりしているし、怖いけど、なぜか優しいさを感じることが多いです。

門前払いではなくて、きちんと聞いた結果で、

その場で自分の考えをしっかり言って、クリアーにする。

 たとえ僕の英語がおかしくても笑ったり冷やかされた事は一度もありません、

それよりも圧倒的に

「良い活動だ、できれば協力したいが、こういう理由で今回は断る!」

ときちんと話します。

 一瞬こわいけど、実は優しいのがイギリス人です。

 生活はいたって質素です。お芋を食べてガーデニングで家の芝を刈るのが、

お年寄り達の普通の生活です。

これがかつて世界を制したイギリスなのか?

っておもうと、少し心が安らぎます。

日本の経済はアメリカに次いで2番目くらいだとおもうけど、

イギリスみたいに7番か8番めくらいに落ちてしまえば、

みんなもう一番になりたい、とは思わずに、

心安らかで平和で質素な人間らしいな暮らしが待っているかもしれないと思います。