2013年3月5日火曜日

男はうんこで繋がっている②


 その後アンゴラに居たとき、毎日トウモロコシを水で溶いたものと煮た豆をご飯もしくはご飯のように炊いたパスタで食べるという炭水化物100%の食事を数ヶ月していた、全寮制の学校で体育を教えていたので他に選択肢がなかった。

これはある意味人体実験のようなもので、食べることへの興味は無くなり、楽しみは食後に飲むコーヒーだけになってしまう。しかし体調はすこぶるよくウンコには全く空気が入らない、粘土のようになってしまうのだ。

空気が入らなくきめの細かい粘土のようでとても長くなる。

そして僕の住んでいた寮は水洗用便器を毎回バケツの水で流すというスタイルであったので、そのように長くて力強いウンコは流れてくれない。しかもトイレットペーパーの質が悪く、みんなには「紙は流していけない」といわれていたが、何処に紙を処理するのかは誰も教えてくれないので、そのまま流していた、そうするとトイレが詰まる。

いつか流れるだろうと思ったり、木の枝を切ってきて、それで10分くらいグルグルとかき回してみたがアンゴラは赤道より下のはずだから水の流れは右回りか左回りか分からず、両方の方向に10回ずつかき回したていた。

でも詰まっているのは便器の奥で、縦方向にS字になっていて、簡単にはとどかないのだ。
おしるこを満タンにためた洋式トイレの前に椅子を置いて、自分の便意と戦いながら夕方におしるこを永遠とかき混ぜていたことを思い出す。(実際に豆しか食べてない・・・)

結局は水は一ミリも減らず、寮の隣にすんでいたケイタの便所を内緒で使わせてもらった、ケイタにはいつでも使って下さい。とは言われていたのだがへんな意地があって借りないでいたのだ。

自分の便所はすでに三日ほど詰まっていたので、したがって自分自身も三日分詰まっていた。だからケイタの便所でもにんじんというよりも大根といったほうが良い物が出てきた。
自分で汲んできたバケツの水で流そうと思ったが、大根がなかなか折れてくれたいので、流れていかない、結局バケツで水をもう一度汲みに行って水が弾くことを気にしないで思い切り入れたが、水かさが増しただけで何も変化がなかった。 
それからケイタの便所の前で汗びっしょりでかき混ぜたが水は全く引かない。 あまりの焦りと暑さとやり切れなさで「いっそのこと腕を突っ込んで詰まってるものを引っこ抜いてしまおうか」

と思ったが、その場合は肩くらいまではおしるこに埋まるだろう・・・・
と予想され、辛うじて思いとどまった・・・・

ケイタが帰ってくる前になんとか流したくてしなりそうな木の枝をとってきて、何度も突っ込んでみたがついに流れなかった。
 
そしてついにケイタが帰って着てしまった。仕方なく白状すると
「僕は丁度ベンキの角度に合った棒を持っています」
といってどこかに行ったかと思うと、一分くらいすると使えなくなったほうきのとってが程よく曲がった棒をもってきて、すぐに詰まったベンキを直してしまった。そのまま僕の前を通って僕の部屋の便所に入ると、
 「こちらも治りました」 
と1分で出てきた。
その棒を普段何処に隠しているのかはよく分からなかったが、先が微妙に曲がった
70センチくらいのその棒を持ってさっそうと歩くケイタの姿は、それまでイギリス、アフリカと一緒に旅してきたなかで一番カッコよく見えた。 
三日ぶりに空になった自分の便器をみて、本当に嬉しかった。

その後にケイタとふたりで、アンゴラでのウンコについてとウンコ棒の曲がりの角度などについて2時間ほど白熱した議論が行われた。 

男はなぜかウンコにロマンを感じるものなのだと今でも思っている。 おしまい