2010年6月30日水曜日

シャンプーと言う犬についての話③



 <写真はシャンプーの物真似をする隣のクウィンティル、タソガレ顔が
なんとなく似ています。写真は2008年の10月だから、3歳か4歳でした、
今は小学校に通っているそうです。>


そんな彼女と僕との間に小さなもんだがおこったのは

スパイダーが死んでから一カ月くらいたったある深夜の事でした。

 眠れないのでメールのチェックをリビングでしていた時の事、

外のセンサーライトのオレンジ色の光の中で、

シャンプーが他の二匹の犬と交尾をしているのに気がつきました。

 スパイダーの支配下におかれていた、我が家の敷地の中で、

二匹のたいして品の良くもない雄犬に囲まれて、

交尾しているシャンプーのその遠い眼の先に、

一瞬でもスパイダーの事を思い出してくれているのかな?

 と少し切なくなりました。

 人間としてあまりにも守られた世界に住んでいる僕にとっては

 少しだけショックでした。

 しょせんそんなのは男のエゴだなとわかりながらも、

とても複雑な気持ちで、深夜のその光景を家の中にある

少し大きな肘置きのあるチェアーにもたれながら、

死んだスパイダーの事を思いながら、

 少し複雑な気持ちで眺めていたのを思い出します。

 
 それから三日間ほど、僕はシャンプーと口を利きませんでした。

 お前がスパイダーを待つ気が無いのならば、もう一緒にはいたくない、

もともとお前はうちの犬では無いのだ、

うちの残飯はお前には食べてほしくないし、スパイダー以外の犬を飼うきは俺には無い。
 
 そう思っていました。

 シャンプーは残飯がもらえてももらえなくても6時前後には必ずうちの

キッチンに顔をだして、座っていました。

 三日間たって、餌をあげない僕に腹を立てるでもなく、仕方が無いから

一切れだけあげた肉のかけらの匂いだけをゆっくりと嗅いで、

なぜか口に入れなかったシャンプーの姿をみて、

 「腹が減ってるから来てるわけではないんだな」

 となんと無く自分が間違っていたようなきがしました。

 「スパイダー、お前はどう思っているのか?」

 と彼に聞きたい気持ちでした。

 おそらくスパイダーは

 「そんなことは犬の世界では当たり前、人間てなんでそうなの?

   ウラのほうがおかしいよ!」

 って思っていたかもしれません。