2010年12月29日水曜日

人を管理することと、自主性を保つことのバランス

管理することと自主性を保つことってとても難しいな

ってよく思います。

 たとえばファミレスに居たころ、店長って何でも管理しようとします。

 お辞儀の角度は30度、歩く速さはどれくらい、レタスは120グラム、

スープの温度は90度。

 まあそれは品質管理だからよいのだけど、人に対しても同じように

管理しすぎると、本当に困った時に誰も助けてくれないこと良くありました。

 無駄をなくす動作の為に常に従業員に向かって

「この動きは右手で、キッチンの引き出しはこうやって開けろ、

 冷蔵庫は開けっぱなしにするな。蛇口のを勢いよく出しすぎるな、

 この仕事は誰がやったんだ?

 この料理は誰が作ったんだ?

 シフトを変えたいときはたとえ子供が病気でも自分でかわりを探せ!

 料理は必ず10分以内に出せ!」

 常にマニュアルに追われていて、人間性は二の次。だからファミレス


 って滑稽に見えて、よくお笑い芸人のネタにされているよね。

 
 でも、どれだけ滑稽に見えたとしても、そしてやってる本人達も

自分で滑稽だとわかっていても、お客さんに指をさされて笑われても
 
組織に逆らうことができないのが日本の社会だと思います。

組織に逆らって制裁を受けるくらいなら、人に笑われても感情を殺して

マニュアル通りにやってるほうがよっぽど楽だということになります。

 
 でもそういうお店って非常事態にとても弱いんだよね。

 みんなが常に感情を殺して仕事してるから、

臨機応変に対応することができないんだよね。

 体を動かすことには慣れてるけど、心が全く動いてないから駄目なんだよね。


 

 ファミレスは3時から5時ってお客さんもお茶してるだけだから、

意外と落ち着いています。

6時から始まるディナーの準備をしたり、新人のトレーニングをしたりする時間です。

 僕も社員の頃はよくその時間に新人を教えたりしていました。

 基本的にはマニュアル通りだけど、

僕はなるべく自主性を持って仕事をしてほしかったので、常に
 
「君だったらどうする?どうあるべきだと思う?」

 って相手の意見を聞くようにしていました。

そうしないで一方的にこちらが指導しても、

相手は聞いてるふりはしてるけど、頭に入らないものね。

 よくいってました。

「とりあえず一通り説明するけど、今すべて理解しなくても良いからね、

わからなかったらその都度何度でも聞いてよいからね」

 でもどこの店長も僕のそういう姿勢は嫌いで、

「浦さんとりあえずマニュアル通りに押しつけちゃって良いしそのほうが楽だよ」

という感じでした。


 そんなことをしてるうちに4時ごろに夕立が降ってきたとします。

 7月頃にはよくあるよね。

 それが意外と7時くらいまで降り続くと、みんな晩御飯を買う為に

スーパーに行きそびれてしまうし、

 「それじゃあファミレスの宅配でも頼もうか?」


ということになって、5時あたりから急に宅配の電話が鳴りだします。

 でもキッチンは僕と新人の二人、

 少し早めに来てくれたバイトの子に入ってもらって、

あわてて宅配用の料理を作ります。

 新人の子にも気を使いながらですが、電話は店で受けているのでは無くて、

センターで一括して受けているので、一瞬のうちに三件が重なったりします。

 「ウラサン今の時点で5件です、

5時の注文だから遅くても6時までに届けないと行けないけど、

一軒だけ住所が全く逆です。

 6時にもう一人宅配する人が来るから

その人に持って行ってもらうように残してよいですか?」

 「わかった、良いよ、気をつけてね!」

 そうやってるうちにまた2件注文が入ります。


 合計7件、配るバイクは2台、キッチンは6時まで新人を含めて3人、

 僕のシフトは朝の9時から6時でおわりだから、新しく二人がキッチンに来ます。

 すでに45分での宅配は無理だから宅配時間を延ばすように

キッチンからパソコンに手を伸ばして、宅配時間を90分にします。

 それでも追加で3件入ってしまって、7時までに合計の注文が6件、

 おまけに金曜日などはお店も混んでしまって、6時に新人と僕が

 抜ける予定が、抜けれる状態ではなくなります。

 新人の子も手伝いたいけど何をして良いのかわからないし、

こちらも忙しすぎてどう指導もついつい手荒くなります。

 追加の注文がさらに3件入って、待ち時間を2時間に変更します。


 キッチンはすでにパンク状態、宅配用の食材ってそれほど沢山

お店に用意しているわけではないので、品切れが出てきます。

 「ウラサン、この注文はもう食材がありません、コールセンターに

連絡してください」


 「わかった、ちょっと待ってて、あとは何が切れそう?」

 「ドリアもない、フライもない、野菜もやばい」

 さっそうとしたキッチンにフロアーから声がかかります。

 「対してお客もいないのに、なんで料理が30分も出てこないの?」

 こちらとしてはお店のお客さんを優先してるつもりなんだけど、

 時には宅配を優先しないと、配達は3件を一度に持っていったり

するので、タイミングを合わせるのが大変になります。


  とりあえずコックコートのまま、お客さんに謝りにいって、

 フロアーをチェックすると自分が思っていた以上にお店が混み始めて

 いることに気が付きます。

すぐにキッチンに戻りますが、自分が何処まで料理を作っていたのかわからなくなり。

 抜けてる料理が一品でもあると、その宅配は出発できなくなるので、

悪循環になります。

 6時になって、キッチンに2人がきて、新人が抜けて

 4人で6時半まで料理を出します。

 一通りだしたら、いったんフロアーのお客さんの状態を確認してから、

おくれている宅配を自分の車で手伝います。

 7時までにクレームが一つもなければ8時には帰れますが、

 フォークが入ってなかった! ソースが抜けていた!
 
 一品足りない!写真と違う!遅すぎ!

 などのクレームが一見でもあって、コールセンターから

 [お店で対応してください。]

 ということになると、スーツに着替えて、そこから誤りに行きます。

 すべて終わって9時、部長から電話でクレームについて文句言われて、

 10時に帰宅、風呂に入って11時に寝て、明日はまた朝の7時には

 家を出て8時からお店です。
 

 お客さんに謝りにいって改善しますといっても

 雨が降るかもしれないから人を増やすことも、

 食材を多めに抱えるかともできるわけないから、謝るだけです。

 もともとは会社が人件費を削りだしてからこういうことが

 頻繁に起こるようになりました。

 そして上司からは人格まで否定されて。

「お前の常日ごろの指導の甘さが原因だ!」

 という結末に・・・

 「でも人間性は失いたくないし、偉そうに指導もしたくない・・・・」

 帰りに車で気がついたらよく歯ぎしりしていました。

 そういうときに限って、次の日に店長に言われます。

 「昨日に浦さんが指導した新人、辞めちゃいましたよ。
    やっぱり浦さんに指導は無理みたいですね」

 こんな毎日が続いた日々もありました。

 僕が難しかったのは、同じ時期に実業団でプレーしたいたフットボールは

 みんな教えられなくても自主的に行動してくれるし、

 みんながもっと働きたい、もっとチームに貢献したい。
 
 という人間の集まりだったのに対して、

 ファミレスはみんながあまり高いモチベーションを持っていなかったということ、

 それはもちろん社員である僕の指導力の無さもあるし、

  指導の仕方も変えなければいけなかったのだけど、

 それが僕には難しかったのだと思います。
 


 もともとは人を管理しすぎると、本当に困った時にみんな献身的に

働かなくなる。

 という話でしたがまた続き書きますね。