2010年4月25日日曜日

もしかして神様にレポートしてる?


 前回に引き続きまた書きます。

 昨年僕と一緒に居てくれたダウン症の男の子ですが、彼もヤッパリ叱られたり、

苦手な人が来たりすると悲しそうにします。
 
 いつもニコニコしてるから、そういうときはこちらも余計に悲しい気持ちになります。

 でも基本的にはいつもニコニコしていて、とても周りに気を使っていて、

みんなを和ましてくれます、

時にはこちらが相手をしてもらっているような気になるときもありますし、

 実際に気をつかって僕とのテニスにイヤイヤ付き合ってくれていると感じた事もあります。

 

特に冬の寒いときなどは、手袋もなく、

冬の寒い中をラケットを振り回すのは嫌なのだけど、僕が張り切って

 「テニス行こう!」

 っていうとイヤイヤながらもついて来てくれます。

 
 そしてからはお母さんが大好きです

 どんなに悲しそうな時でもお母さんの話をするとすぐに笑顔に戻ってくれます。

 
 

  彼はこの春に卒業して地元の支援学級に進学して行きましたが、

  「春になったら心配だから進学先をのぞいてみようか?」

 って言う話をしていたら、

 「中学校に来た時に小学校の先生が心配してみにきたけど、その時は凄く嫌がって

 いた、おそらく彼はもう中学校に進学したんだから、自分は一人で頑張っていきたい、

って思っていたのだと思う、そういうところの心の強さは素晴らしい物があるから

 僕たちが心配して見に行っても、よろこんでくれないだろう」

 ということでした。
 
 

 そのときふっと思いました、ダウンシンドロームの子はきっと全てわかってるんだって

 おそらく彼らの役目は神様に誰が正しい人間か、

  悪い人間かを伝える役割のような気がしました。

 そのぐらい人を平等に、純粋にみる力があり、自分の事もキッチリとわかっています。

 

 きっと週にいっぺんくらい報告してるはずです。

 「今週、ウラはサボっていたからマイナス1点」

    とか、

 「先生達は今週隠れてバームクーヘンを食べていた」

  とか、神様に報告するのが役目でそれによって

 僕らは天国に行くか地獄に行くかがジャッジされているような気がします。

 
 バヌアツから帰国して一年間、親父の事、バヌアツの事

色々な新しい生き方を知って価値観が定まらなかった僕に、

人間としての優しさや純粋さ、

強さなどの基本的な価値観の大切さを再確認させてくれたのは彼だったと思います。

 
 写真は卒業式です、「ありがとう!」といって涙も流さずさわやかに旅立って行きました。

 彼なら何処にいってもみんなから愛されることでしょう。

 僕の人生に大きく影響を及ぼした一人に違いありません!

 

一回だけ泣いた時の話


 

 昨年一年間僕は地元大阪で中学校の昔で言う養護学級(今は支援学級といいます)

 で働いていました。

 火曜日は親父のホスピスの通院があったし、親父は三食自分で飯の準備はしないから、

 午前中だけ週4日、地元の教育委員会に泣きついて、何とか入れてもらいました。

 本当に感謝しています。

 そこにダウン症の中学校三年生の男の子がいて、僕は一年間そのこと一緒に毎日テニスを
 
 していました。

  ダウン症の子はとても穏やかで癒されます。
 
 親父が死んだ後に唯一僕が泣いたのは葬式が終わって初めて学校に行った時にいつものよう

 に彼とテニスをしていて

 テニスと言っても、彼がバドミントンのラケットをブンブン

 と振り回していて、そこに僕が上手くボールを投げて、彼がそれを打ち返すとともに2メー

トルくらいの至近距離に立っている僕にボールをぶつけるというものです。

 ボールが僕の顔面や体に当たると

 「イエイ!」

 と言って喜んでくれます。

 今思えば昨年初めて学校という現場に僕が入って、色々な先生達から仲良くしていただいた

 最初のきっかけは僕が彼と毎日外でテニスをしているのをみてくれた先生達が

 「あいつは毎日午前中しか来てないけど、まんざら悪い奴でもなさそうだ」

 と思ってくれたところから始まった気がします。
 
 

 話はもどって彼は僕の投げたボールが上手くラケットに当たらなくて、

 何回か空振りすると、

 「駄目!駄目!」

 と言って怒りだします。
 
 親父が死んで初めてのその日、少しだけ集中力を失った僕が上手くボールを

 投げれなかったときに駄目!駄目!と 彼が怒りだしたとき

 「そうは言ってもこっちは親父が死んで葬式とかあって大変だったんだから

  ちょっとくらいボーとしても良いじゃん!そこらへん気を使ってよね!」


 って思った時、そんなことは全く知らずにいつもの

 ように怒ってくれる彼の前で初めて涙がこぼれました。

 君だけはいつも平等に接してくれるからこちらも素直になれるんだな、って思うとともに

  涙って期待されると流れないものだと気がつきました。


  なんかそういうものですよね?

 次回も彼の話です。

  ちなみに写真は卒業式の時のものです、だから僕はスーツ来てます。

 卒業式が終わったとに彼が

  「ウラ、テニス!」

 って言っていつものようにラケットを振るジェスチャーをしながらニンマリ
 
 笑ってくれたので、スーツのまま最後のテニスをしました。

  この時は僕ら二人に涙は無かったですが、僕ら二人を一年間見守ってくれていた

 ベテランの先生や介助師さん達は僕ら二人をみて涙をこらえてくれていました。

 本当にお世話になった一年間でした。

 
 

大人と子供の違いはなにか?

 って漠然と聞かれてなんて答えますか?

 何だろうって思ったけど、一つの答えは

 子供は自分の価値観がしっかりと定まってないから、人とすぐに比べる、

 ・人より学歴が良いから自分のほうが良い!

 ・人より大きな家に住んでるから自分のほうが良い!
 
 ・人より綺麗な彼女が居るから自分のほうが良い!

 ・人よりお金を持ってるから自分のほうが良い!

  
 それが子供の典型だそうです。

 
  大人はというと、自分の価値観がしっかりと決まってるから

 自分が好きなものが身近にあればそれで良い。他人の評価は関係ない、

 なぜなら自分にとって大切なものが何か分かっているから。

  
 そういう価値観がしっかりとしているのが大人だそうです。

 
 旅行に行くと良く分かるかもね、みんなが良いって言ってる観光地を

 一通り回って全ての前で記念撮影して

 「私は全て回った!有名なところは全て制覇した!」

 っていってクタクタになりながら満足する人か


 
 もしくは誰も気にかけない町でも、素敵だと思えばそこで自分の好きな

 人と時間を気にしないで一日ゆっくり過ごすことのほうが価値があると思うのかだよね

 イギリス人は頑固だけど結構そういう「自分」って言う価値観持ってる気がします。

 そういうところ素敵だと思って観察してる毎日です。