2011年4月12日火曜日

言葉と行動



 <写真は海で泳いでいた子供たちです、みんないつも砂まみれです> 
 

朝の6時に生徒は起きて学校のまわりの掃除を始めますが、

レベッカとクラウディオがとても深刻そうな顔で何かを話しています。

ポルトガル語だから内容はわからないけど何やらとても深刻そうでした。

 月曜の朝だから憂鬱なのかな?それとも何かあったのかな?

 って思って見守っていると、急に二人で大爆笑しました。

 何これ? なんでこの雰囲気でこうなるの?今までの深刻さは何だったの?

 アンゴラでは結構こういうことがあります。

イギリスでも何言ってるのかわからないことが多かったけど、

アンゴラみたいに急に場の雰囲気が変わることはなかったです。


 昨日も海で、僕たちは人の少ないところを選んで泳いでいたのですが何やらその場所は遊泳禁止だったみたいで、監視員みたいな人が来て、

僕たちの隣で泳いでいた若者7,8人のグループに

遊泳禁止だということを伝えていました。

 僕はすでに砂浜に上がっていたので、その様子を見ていましたが。

若者達はいっこうに監視員の言うことを聞きません。

 30代くらいで、ものすごく体の大きい監視員の人は若者達に辛抱強くお願い

しているような感じでしたが。彼らは人数が多いからか、海の中から言い返すば

かりで、泳ぐのをやめようとはしませんでした。

 怒った監視員が一番いいわけをしている男の子を指さして、

「お前ちょっと上がってこい!」

 といって人差指で指図しました。

僕は殴り合いでも始まるのか?と様子をみていましたが。

 海から上がってきた20歳くらいのその男の子は180センチくらいある

監視員のおじさんよりもさらに5センチくらい体が大きくて、たくましい体をし

ていました。

 「監視員のおじさん勝てるのかなー?」

 少し緊張して様子を見ていると。

その青年はものすごく言い訳しながら、急に監視員に右手を差し出して握手しま

した。そして

「オブリガード」 (ありがとう)

 と言いました。

「え!なんで?」

 って思ったけど、結局二人は2分くらい話してから、

それで分かれてしまいました。

そのグループは海からは上がらずに少しだけ横にずれましたが。

結局はほぼ同じ所で泳いでいました。

 それにしてもあんな凄い勢いで言い合っていたのに、

結局は事態は全く変化なかったのはなんでなのかな?
 
って不思議に感じましたが、アンゴラでは結構そういうことがあります。

 ちなみにそこが遊泳禁止なのは海底に船着き場だったころの

鉄の柱がまだあって、それで怪我をしないためだよ。
 
とその監視員の人が僕たちに丁寧に説明してくれました。

 
学校でも生徒もものすごく言い合いをした後に、

結局は何も解決しないまま、終わることが多いです。

 
ちなみに日本人の話し方の意味がわからない僕が言われた時に経験を一つ。

 イギリスの学校からデンマークの学校を訪問した時の空港で、

暇だった僕がケイタに

「何か本を持ってない?待ち時間が長くて退屈してしまった」

 と尋ねました。ケイタは

「ウラサン、これどうですか?リーダーシップとマネージメントの本です」

 っていって僕に一冊の本を貸してくれました。僕が

「どんなことが書いてあるの?ケイタはどこがおもしろかったの?」

と目次を見たり、中に書いてあるグラフをみたり、

面白そうなところを少し読んだりしていました。

 ケイタも熱心に内容について説明してくれました。
 
おそらく5分くらいは話していたと思います。
 
それを空港の待合席の向かいで60歳の女の先生のカリンがずっと

観察していたみたいで。

 「ウラは本を読んでいる、ケイタはウラに一生懸命話しかけている。

ウラは本を読みながら話を聞いていて、たまにケイタを見ては頷いている、

私にはウラがとてもいい加減なことをしているように見えるし、

ケイタが自分を無視しているウラに何を一生懸命に話しているのか

全く理解できない?」 
 
と尋ねられたことがありました。

 ケイタと僕は顔を見合わせてしまいましたが、カリンに

「二人でこの本について話しているんだよ」

 と説明すると、何となくわかったような、

でも何か納得いかないような感じでした。

 でも言葉が理解できないと、人の行動ってこれほどおかしく感じるんだな。

と感じました。

 たとえば字幕なしで全くしらないドイツ語の映画を見ていると

何がおこっているのか全く理解できないのと同じ感時なのかもしれません。
 
 言葉と行動って密接に絡み合ってるんだなーっていつも思います。

 

難しいけど現実的なこと



 <写真はアンゴラの女性がよくやってる頭にものをのっけて運んで
 居る所です、写真は生徒のリンダ、年は二十歳くらいだとおもうけど
 ものすごい貫禄です。アンゴラの女性はつわものぞろいです>

昔バヌアツでみてコマーシャルなんだけど、

20歳くらいの女の子が椅子に座っていて、大学入学の推薦状を持ってい

ます。カメラがその推薦状からドンドンと引いていくと、椅子に座ってい

るその女の子はお腹が大きくて妊娠していることがわかります。
 
 その子は大学に行くチャンスを逃してしまったというストーリーです。

 初めてみた時、悲しい出来事だし良くできたコマーシャルだと思いまし

た。バヌアツにはピッタリだとおもいました。

 一方アンゴラ、このコマーシャルはあまり受けないと思います。

 あまりにも先進国にあわせてつくったコマーシャルに感じます。

 
途上国の問題は女性が10代から子供を産み始めて、

一人の女性が5人以上の子供を持つと、子供の学費が払えなくなる。

だから教育が受けれなくてますます貧困が広がっていく。
 
 一人につき2、3人くらいの子供にして、

教育をきちんと受けされるべきだ。

 ということが叫ばれていますが、
 
アンゴラの女性の立場から言えば、 頑張って教育を受けたって、

アンゴラは仕事してお金をもうけているわけではなくて、

石油とダイアモンドを輸出してお金をもうけているだけだから、

女性のつける仕事なんて無い。

そもそも兄弟が5人以上いたら、親は男の子に優先的に教育を受けさす。
 

 だったら今好きな人と子供を作って30歳までに5人から10人の子供

がいれば、学力なんて無くても社会が自分をほっておくわけがない。 

結局は誰かが面倒を見てくれる。という現実もあるのだと思います。

アンゴラで学歴があっても30歳で子供2人しかいない女性は少しさみしい気がします。

もちろん素敵な旦那さんがいて、しっかり守ってくれるのなら話は別ですが、

なかなかそういう雰囲気ではなさそうです。

 だからある意味こちらでの
 
 「子供作ろう」

 は純粋でまじめです。

 先進国みたいに快楽のための遊びや商売ではないようです。