2010年11月9日火曜日

半年のまとめ②

次に行きます。

 それでは日本の文化は受け入れられないのか?我々の美徳はどうなるのか?

ということですが、それは受け入れられます。

西洋の人達は自分達の自己主張の強さ、

 いつまでたってもお互いに足を引っ張り合う文化、

 他人のことを思いやりたくても、

 自分が敗者になって搾取される側には絶対になれない。
 
そういう文化にうんざりしています。

 だから日本人が持っている

「いたわり、無念さ、弱者に対する思いやり、敗者の美学、情け」

といった感情にとても興味を示します。

 自分達の社会の矛盾の答えがこう言った感情の中にあるのでは?

 と感じるのだと思います。
 
 でも敗者にはなれない。だから絶対的優位な立場に自分を守りながら、

 「募金」という形で、敗者への「情け」の感情を表します。

 日本人みたいに「一庶民」として生きていくにはリスクが高い社会だからです。

 ではどうやってそういった感情を西洋の人に対して

 態度で理解してもらうようにできるのか?

 ということになりますが、

 たとえば映画や本のようにコンパクトに一つのものとして

 まとまっている場合には2時間で理解してもらえますが。

 今の僕のように一緒に生活しながら理解してもらうには少し時間がかかります。

 もちろん言葉の壁もあります。

 でもこの半年で僕が感じたことは、粘り強く頑張れは、

 それはキチンと評価されるし、日本人への信頼は僕らが思っている以上に高い。

 ということです。

 僕も一度はこう思いました。

 もっと英語が話せて、自分がもっと若くて、日本で働いたことも、

 日本人の文化についてもたいして知らなくって、二十歳前後でここに来たら、

 簡単に西洋人みたいになって、自己主張してそれが良い、

 日本人の謙虚さは意味が無い! って思ってたかもしれないでも
 
 でも僕は日本で10年間社会人してたし、

 その間に日本人として日本社会で学んだことは沢山あるし。

 大学の体育会4年、実業団のフットボール9年で嫌というほど

 身に着いた日本の上下関係、縦割り社会、個人と組織、情と知、自己犠牲、

 終終身雇用制度にいたるまで、

 深く自分の魂に刻み込まれてきた感情とそれによって得た

 成功体験から逃れることはできなくって、不器用だけどでも頑固に、

 そのスタイルを貫いてきました。

 結果的に今思うことは、半年の時間をもらって、教室以外の仕事、

 募金活動、掃除、食事の用意、部屋の改装やペンキ塗り、

 畑仕事など実生活の中で見せることができる自分のライフスキル、

 生活力と衣食住みたいなことから表現される実力が

 結果的には僕を助けたとおもいます。

 西洋の強烈な自己主張は最初の一カ月間は通用しますが、

 それが継続されると口だけでは通用しなくなり、敵が沢山できて、

 お互いに権力の取り合いになり、それが決着するまでは話が全く前進しなくなります。

 「船頭多くして船山登る」

 もう一人の日本人の啓太が先日教えてくれました。

  西洋文化を表すのにぴったりだと思います。

 みんなが自分の全体像を描くので、話が全く進みません。

 (逆に日本人は全体像を描いて主張することが上手くないと思います。
 物事が良く分かっている人に限ってこういう人が良くいます。)



  日本にはこういう言葉があります

「人を相手にするな、天を相手にしろ」

 権力を気にするあまり、相手を倒すことばかりに能力を使ってしまって

 本当にしなければならないことを見失ってしまうこと良くあると思います。

  プログラムが始まった最初の二カ月くらい良くこの言葉を思い出しました。

 もちろんこれはうちの学校という入学試験もなく、申し込みだけで入ってこれる

 学校の中で起こったことであり、もっとキチンとしたヨーロッパのあると思います。