2009年4月26日日曜日

毒キノコの帽子

クウィンティル(写真左)とクリンクリン(写真右)という可愛い名前の二人が朝早くに家に来ました。

「ウラー!バロン(ボールのこと)に空気をいれてよー」



「オウ!入れてあげよう!」



子供のボールに空気を入れてあげるのは僕の大事な仕事の一つです。


でも必ず僕が入れます。


子供に入れさせると必ず入れている途中で



「俺にもやらせて!」



と言ってボールの取りあいが始まって、そのたびにピンが曲がったり折れたりしてしまうからです。



すでにピンのスペアーは無いので、ボールの空気を入れるときだけは少しだけ神聖な感じで、これは大



人が行う難しい作業なのだ、と言うふうに、眉間にしわを寄せながら入れます。



子供たちは僕のそういった雰囲気をみて、今暴れるのはタブーなのだ



と感じてくれるみたいです。  



クウィンティルが


「ウラー、いっぱい空気を入れて大きくしてよー」



と言うので、こちらも眉間のしわは崩さず、でも少し張り切って入れましたもうこれ以上はありえないくら



いにパンパンに膨らんできたバロンをみて3人の興奮が絶頂に達した時に



「ボカン!」



という凄まじい爆音が僕らの立っていた玄関から部屋の中にコダマするように響きました。




3人とも一瞬何が起こったのかわからずに放心状態でした。




空気の入れすぎでバロンが割れてしまったのです。 



2人のちょうど目の前で突然爆発してしまったバロンをみて、ぼくが



「ゴメンネ、ゴメンネ」



とあやまると、凄まじい爆音にすっかりビビッタ2人は、言葉も出ないまま目を見開いて僕を眺めていま



したが、とりあえずウラが謝っているのでここから去ったほうが良いのでは?



と感じたみたいで、壊れたバロンを恐る恐る拾い上げて無言でゆっくりと家の方向へと戻っていきました。



歩き方すら思い出せないほどビックリしたみたいで、一列に並んで歩いていく2人の後ろ姿は右手と右



足が一緒に出てしまっているようにも見えました。  



 それから二時間後・・・



トントンとドアをノックする音が聞こえるので出て行っみるとなんと2人が満面の笑みで立っています。



「ウラ、僕達の新しいキャップ見てよ!」



と壊れたバロンを2人で半分ずつかぶっていました。



キャップとして使えることに気が付いたことがうれしかった見たいで、



僕に見せに来てくれたみたいでした。



「今カメラを持ってくるから待っててね」



「やったー、フォト!フォト!」



と言って喜んでいる時の写真がこれです。



日本だったら捨てられてしまうかもしれない壊れたボールで新しい遊びを発見し出来る子供の想像力は頼もしく感じます。



毒キノコみたいで気持ち悪いですが、



僕がバロンを壊してしまった事に責任を感じていると思って気を使って2人で見せに来てくれたのかな?



とも感じました。