2010年10月5日火曜日

デミタス



 (写真はデミタス、普段は少し怖そうなヤンキーメガネをかけていて、
  少し接しにくい感じでしたが、少年のようなとても良い人でした)


 「私はエド・ピリオド(江戸時代)と宮本武蔵をこよなく愛します」

 僕が日本人だと知って、開口一番この言葉を話しだしたその男の名は

      デミタス

 デンマークでのオリンピックのボランティアとしてノルウェーの

 学校からやってきた、ラトビアの男です。

 
 彼は50名近くのボランティアが初めて集まってみんなが緊張気味

にミーティングを始めた矢先に、入り口の扉の横にあった大きなガラスの壁

が目に入らなくって、そこから外に出ようとして、ガラスに衝突、

 大きな音にみんなが驚いて振り返った時にはすでにガラスは粉々

彼は何が起こったのかわからなかったみたいで呆然と立っていましたが、

 その後にゆっくりと尻もちをつき、そのまま仰向けに倒れてしまいました。

 多少の出血とともに病院に送られた彼は2時間ほどして戻ってきましたが、

 縫うほどの傷は無かったみたいでした。

 病院で顔に貼ってもらったバンドエイドがどういうわけか

 真っ白なバンドエイドだったので、

なんとなくフランケンシュタインみたいに見えたけど、

 初日ということもあり、みんな遠慮して彼にそのことは忠告しませんでした。

 
 その彼も典型的な外国の「オタク」でした

 
 僕に向かって永遠と徳川家康について語り続ける彼のところに

 他のノルウェーチームのボランティアが寄ってきて

 「ウラ、面倒だろうから気を使わずに 黙れデミタス! って言って
 
    良いよ、デミタスは話し出すと止まらないからね」

 って忠告してくれるほどでした。

 
 「エド・ピリオドは200年以上だ、

 もちろんノブナガやヒデヨシも素晴らしい、

 しかし200年以上続く都を組織したイエヤスは別格だ

  あの時代の日本文化の発達は素晴らしい」

  僕

 「鎖国してたし戦争無かったからみんな暇でそうとう煮詰まってるからね!」

 ってぼくは言いたかったけど、

 「煮詰まる」って英語ないよね? 深いっていう ディープで良いのかな?

 僕が適当に答えてるとデミタスはそんなことは全く無視して話し続けました。

 オタクの人ってそういうところこちらが気を遣わなくて良いから楽です。

 とても嬉しそうに話すので、こちらもとても嬉しくなります。

 バヌアツにいたころ感じたのは、

 バヌアツ人はジャッキー・チェンとかブルー・スリーとかのアクション

 映画は良く見るけど、人の内面とか、悲しさ、人情、歴史などについての

 映画はあまり見ていないこと。

 もともとは中国人がバヌアツで売れそうなDVDを

 輸入してくるからかもしれないけど、

 バヌアツでは日本文化について知ってるひとは少なかったです。

 それに比べてデミタスなんかのヨーロッパの北のほうの

 人達は人の内面について描かれた映画とか本をよく読んでいます。

  デンマークで知ったけど、 

 「醜いアヒルの子」 「マッチ売りの少女」

 などはデンマークの童話だそうです。

 どちらもヒーローものとは全く逆な話だと思います。

 こないだ読んだ記事ではフランダースの犬は

 最後に主人公が教会で死んでしまうという悲しい話なので、

 アメリカではうけない、しかし日本では原作のままでもとても共感を呼んでいる。

 という話でしたが、そういう面でも日本とヨーロッパ似てるのだと思います。

  国の歴史が長くなると人間の考えってどんどんと深くなって、

 悲しいほうに流れていくのかな? って思いました。

 「楽しくて愉快なだけでは人生はつまらない、

 悲しさや虚しさというスパイスが効いてこそ人生はより豊かになるのだ!」


 ってみんな気がつくのかもしれないですね。


 ごめんねデミタス、君の話だったのに少しずれたね。 

 次会う時までに僕もヨーロッパの歴史について学んでおきます。