2010年5月18日火曜日

 世界のシステム

  今日の朝のミーティングの議題はガーナのダイアモンドとか金を

採掘するところに白人の若者がいって、一日体験入学みたいなのをして

「辛い!」

 って愚痴る番組を15分くらい見て、それについてどう思うか?

 という話でした。

 「先進国の人達がアクセサリーを買うのがいけないんだ!」

 「それを商品化して売ってる会社が悪い」

 「買う消費者がわるい」
 
 「でもやめたらガーナの人達の仕事が無くなる」

 「もともと彼らは自分達だけで幸せに暮らしていたのに、植民地

 支配をして違う価値観を植え付けた我々が悪い」

 
 ブラジルのアルツーが少し興奮気味に

 「ヨーロッパの人達がそう言った価値観を植え付けた、我々ブラジルは

 とても貧乏だ」

 カメルーンのアーネスティーンがアルツーに耳打ちした後アルツーが

 「アーネスティーンはイギリスに来て初めてバナナを食べた、でも

 今俺達が毎日ここで食べているバナナはカメルーンから来ている、

 なぜ自分達の国で食べるものを自分達で作らないのか?」

 
 すかさずポルトガルのルイ―スは

 「アルツーはブラジルは貧乏でヨーロッパの人達は金持ちだって言う

 けど、我が国ポルトガルは近年ヨーロッパでもっとも貧乏な国だった

 だから俺は知っている、貧困の苦しさを」

  
 スウェーデン人のオーサは

 「私達スウェーデン人は福祉国家で私はずっと年金で生活できると思っていた、しかし近年になってヨーロッパがヨーロッパユニオンとして統合して、
私達の国の税金はポルトガルなどの貧乏な国に流れて行ってしまって、
今は私達の年金制度は崩壊してしまった、私は個人的に年金に入らないといけなくなってしまった。」

 
 なんか怪しい雰囲気になってきました・・・

 アルツーが

「例をあげると先週の金曜日にオーサはアイスクリームとケーキを買って
いた、ブラジルでアイスクリームを買えるひとは金持ちの人だけだ、だからあなたたちは年金制度がどうだとか言うけど、その前に金持ちだと思う」

 オーサ
「金持ちの定義をブラジルと比べられては困る、スウェーデンでは私は決して金持ちでは無いし、私は途上国を見てきたから、今はこうやってイギリスに住んで途上国の為の仕事をしているし、私はシングルマザーだから
誰も助けてくれない、おまけに年金制度はUKユニオンのせいで崩壊してしまった、私は決して金持ちでは無い!」

 ルイ―スは

「結局はガーナの人達も一生懸命働いているけど、あれは自分の為ではなくて、自分の子供たちに教育を受けさせるためなんだ、彼らは自分達が貧乏なのは教育を受ける機会が無かったからだ、子供達にはそういう思いをさせたくない、だから子供の為に自分達は犠牲になってでもお金の為に働く、そう信じて働いているんだ」

 「結局はバナナにしても、ダイアモンドにしても、安い人件費を使ってお金儲けをしている奴らが悪いんだ、ガーナの人達は決して正当な給料をもらっているとは思えない」

 「社会のシステムが悪い、でも誰もこれを変えることはできない、でも我々はあきらめないからここに居るのだ!」

 でもアルツーはずっと言っていました

「結局あなたたちは金持ちだからそういうことが言えるんだ、本当の貧困を知らないのだ」

 初めて僕の意見

 「言いにくいけど、その悪い社会のシステムを使ってお金を沢山吸い上げてのし上がったのは僕達日本人だと思う、中間に入ってお金を吸い上げるの上手だからね、でも仕方なかったんだよ、僕たちも第二次世界大戦に負けて、早く先進国に追いつかないといけないって思って必死だったんだ、そして世界一の経済大国になった日本人たちは、何の為の人生なのか思い悩んで自殺者が凄い数だ、そして僕たちはエコノミックアニマルなんて呼ばれて、人生を楽しむことよりもお金の事を優先する、人間ではなくて動物だと言われている、僕にしてみたらブラジルの人はお金もちではないけど、サンバとか踊ってみんな情熱的だし日本人よりもよっぽど人生を楽しんでいると思うよ」

 すかさずオーサが

「そうだ!そうだ!」

 アルツーは

「ウラの意見は面白い、ブラジル人の俺がアフリカに行ったときに、アフリカの人はお金無いのに、何でみんなこんなに幸せそうなんだろう?って思ったもの、それと同じことをウラは俺に思ったってことだろ」


 「結局は誰も勝者は居ないのかな?」

 「この社会のシステムが悪い!」

 「でも作ったのは我々だ」

 「ブラジル人とか日本人、ポルトガル、スウェーデンとかは関係ない

結局は人間がやったんだ、価値観とか国ではなくて全ては人間の問題なん

だ」

 
 ということでなんとなくここでおしまい。

 先生のオーサが

「この問題はエンドレスです、だから今日はここまでね!」

って言って終わりました。朝一番からみんな鼻息が荒かったです。

  

飛行機事故の死亡率

 朝一のミーティングでの議題は飛行機事故で100人以上の

 人が亡くなったのに、子供だけが助かることがある。

 それはなぜか?

  幸運か? それとも体のサイズとか柔らかさの問題か?

 という話でした。

 ポルトガル人のルイ―スは

 「親がとっさに子供を抱くからだと思う」

 ブラジル人のアルツーは
 
 「神が誰が生き残るべきか決めているからだと思う」

 すかさず先生のオーサ(スウェーデン人)は

 「それは無い、この場合に限っては神は居ない、なぜなら車の事故では圧倒的に

 子供が犠牲になっている、もし神様が決めているのなら、車の事故

 でも同じ結果が出ているはずだ。」

  誰かが言った
 
 「子供は車を運転しないから、車から飛び出してしまって、犠牲に

 なる、飛行機は基本的にはパイロット以外は運転しないからみんな平等

 な立場になる、だから神がいるかも」

 その時に僕がボンヤリと考えていたのは

 
 「ルイ―スは親が子供を抱き締めるからだ、っていうけど、抱きしめる

 ってことはシートベルトをはずすってことかな? 
 
 隣に座ってれば頭は抱けるけど、どうなのかな?」

 って思っていました、言わなかった理由は、もしそれを言った時に

 「何故日本人は数分後に死ぬかもしれないときに、人間としての

 行動ではなくて、規則を守ろうとするのか? どうせ死ぬなら子供

 を守るろうとするのが人間ではないか?」

 って言われるかな? そこらへんの取り違えが怖かったのと、朝一番

 であんまり、発言する気が無かったからです。

 でもきっと自分だったらシートベルトを最後まで締めると思います。

 やっぱりそういうところ日本人だよね。

  ソフィアは

 「子供は死ぬことをあまり恐れてないから、体がリラックスしている

 からではないかな?大人は死ぬのを怖がるから、パニックを起こしたり

 体に力が入りすぎるのがいけないのではないかな」

 という意見でした。

  司会をしていたオージリアが僕が真面目に聞いているふりして彼女の顔を

一生懸命みていたから、急に

 「ウラはどう思うのか?」

 って振られました。 ヤバい、実はあまり考えてなかった?

 でもこういうときにきちんと発言しないと

 「日本人の男は馬鹿だ、自分の意見が無いんだ!」

 ってなるのが怖いのとっさに

 「僕もソフィアの子供はリラックスしてるからだという意見に似てるよ、

おそらく子供の気持ちとしては、親と一緒に飛行機に乗って居れば

 親が守ってくれると思ってるし、安心してるから、体に力が入らないの

ではないかな?もちろん実際に親がかばってくれることもあると思うし

でももし10歳くらいの子供が一人で飛行機に乗っていたとしたら、

不安で大人と同じようにパニックになると思う

死ぬ前にもう一度だけでも親に会いたい!って願うだろうしね」

 それに対するみんなの答えは
 
「・・・・・・・・・」

 何それ? 英語が伝わってないのか、それとも根本的に何か違うセンス

だったのか? それともなんとなくみんなけっこう喋ったからもう気が

すんでたのかな?

 なんとなくしらけた感じでその後は先生のオーサがまとめて

 朝のミーティングは終わりました。

 たぶん英語が伝わらなかったのが50%でそれ以外が50%で沈黙

 になったんだと思うけど、どうだったのかな?って思ってます。