2009年5月28日木曜日

だるまさんがころんだ


仮住まいだと言われていた、家に二年間すむことが決まり先日首都から事務所のセ

キュリティーの人が飛行機でわざわざ来てくれて、センサーライトを家の周りに三つ

も付けてくれました。

 そしてサテライトフォンのアンテナと無線のアンテナを付けて帰っていきました。

 村人はみんな大きなアンテナにビックリして、何だ?何だ?と見学していました。


センサーライトはとても明るく、誰かが家に来るとすぐにわかるようになりました。


ウチの家の庭の雑草をカットしてからは、二軒先の家の犬のスパイダーが毎日

来るようになりました。

 スパイダーはウチの家の裏庭に用を足しに来るらしいです。

自分の家の庭で用を足そうとすると、飼い主にパチンコで打たれるので、わざわざウ

チに来るみたいです。

少し失礼だけど、悪い犬じゃないので許してます。

 前に近所の人が鶏を一羽殺して脚の付いたまま持ってきてくれて、僕はそれを丸々

一羽塩と本だしを入れてゆでて一人でこっそり手づかみで食べてたら、スパイダーが

ウチの半開きの玄関からうらやましそうにこちらを見ていたので、骨を投げてやった

のがきっかけで、それから毎日来るようになりました。

 これからはスパイダーが来るとライトがついて用を足すには少し落ち着かないかも

しれないけど、まあ犬が用を足してる姿がライトアップされても誰も気にしないから

良いでしょう。

 近所の子供はしきりにウチの家の中をのぞいています。

 「お前の家には蚊取り線香があるのか?」

 ときいてきたので、

 「ウチはベープマットを使ってるんだよ」

 って言ったら

 「お前のベットの下に赤く光ってるやつのことか?」

 と言ったので驚いたらさらに。

 「今週に入って光ってないぞ!」

 と言ったのでびびりました。何で僕より知ってるの?って感じです。

 

 キッチンで一人でバリカンで髪を切っていたらドアに5,6人がへばりついて

見ていました。こっちはほとんど裸なので恥ずかしいのですが、子供の好奇心はそんなこと

は一切お構いなしです。 

 切り終わった頭を撫でさせてくれと言うので撫でさせると

 周りの子供に、

「凄いからお前も撫でてみろ!」

 と人の頭の所有権を勝手にもって行きます。回りの子供が遠慮すると

「大丈夫だって、犬と同じ感じだから!」

 と強引になでさせるのでこちらは苦笑いです。


夕方センサーライトがついたので子供も少しは警戒するだろうと思っていたら、

外が騒がしいので出て行ってみると。

なんとライト相手にだるまさんが転んだをやっていました。

 センサーライトは風が吹いて葉っぱが揺れたぐらいでは反応しないので、10人位

で横一列に並んで、ゆっくりゆっくりセンサーライトに向かって近づいていきます。


 そのうち誰かが早く動いてしまうと、センサーライトが凄い勢いで点灯して明るく

なります、みんなで

「お前だ!お前だ!」

と言って気が狂ったように大笑いしながらじゃれあっています。

 センサーライトは10秒ほどで消えてまた暗くなるので、その瞬間じゃれるのをや

めてまた全員で笑いをこらえながらセンサーライトに近づきます。でも一人が笑いを

こらえられずに吹き出すと、センサーライトがまた凄い勢いでついて全員で一斉

に大爆笑します。それを永遠と一時間くらいやってました。どんどん子供が増えて収

集が付かなくなって近所の大人がウラに迷惑だからやめなさいと言ってくれて、みん

な解散していきました。

 ちなみに三つ付けたセンサーライトのうちの一つはその日のウチに壊れてしまい。

事務所の人が首都にもって帰りました。

もう一つは次の日の夜にディスコのように点灯して近所に迷惑なので電源を切ってし

まいました。残ったのは玄関にある一つだけだけど、玄関が一番大切だから感謝して

ます。
 
 とまあこんな感じで今週も過ぎていきました・・・・

ネズミとの戦い


「絶対に外になにかいる!」


最近寝つきが悪いのに、やっと寝付いてすぐに起こされたのでムカつきながらも

懐中電灯もってキッチンにいってみたけど、おかしなことに外のセンサーライト

がついていない。
 
でも絶対何か気配がしたのにな?って思って外ばかり見てたらキッチンの中で

何かが走ったからビックリした。
 
ねずみがいた!慌てて蛍光灯つけたけど、こっちもどうしていいかわからない。

ねずみも慌ててこっちに向かって走ってきた。

「アウェー!!!!」

って変な声を上げてのけぞったら向こうもビックリして方向転換した。
 
慌ててハエ用の殺虫剤かけたけど、勝手口の隙間から逃げ出した、

でも勝手口は外の虫除けの網戸と二重になってるのでそのあいだに入ったみたいで、

ガラス戸越しにピョンピョンと飛び跳ねているのが見えたので隙間から

殺虫剤で再度攻撃した。
 おそらくでっかい殺虫剤の半分くらいを隙間から発射したら静かになったので

5分くらい次の作戦を考えながら心を落ち着かせた、心臓が凄い勢いでなっていた。

リビングからブッシュナイフを持ってきてドアをゆっくり開けようと思ったけど、

もしねずみが飛び出してきたら僕はこのブッシュナイフでどうするのかな? 

と思ったら必要ない気がしたけど、もしも飛び掛ってこられたら困るので一応右手

にもって左手でゆっくりとドアを開けてみた、

そしたら網戸の小さな穴からすでに外に逃げ出していて、ホッとしたけど

我に返ってみると、夜中に急に興奮したのと殺虫剤のにおいで目眩がした。

 とりあえず寝ないといけないとおもってベッドにもどったけど、

頭の中がねずみでいっぱいで眠れないし。もう一度キッチンに戻ってみた。

 キッチンの上とテーブルはねずみの糞が沢山落ちていた、気持ち悪いから床に

息で吹き落とした。乾いたらほうきで掃けばいいやとおもった。

でも桶に張っていた水とか、そのほか調味料とかねずみが匂いをかいだりしてた

のかと思うと、少し腹が立ってきた、そしたら極め付けに、今日250円で

買ったばかりの新品のスパゲティーの袋が食いちぎられていたので怒りが

収まらなくなって、益々眠れない、スパゲティーは食われているのと反対側から

ハサミで切って、綺麗な半分だけを移して残りは外に捨てに行った。

 バヌアツにしては高いなと思いためらいながら買ったスパゲティーなのに、

開封する前にねずみに食われるなんて本当に腹が立った。

その後一時間くらいしてからやっと寝付いたけど、次の日の朝寝不足でキッチンに

行って見たら、また新しい糞があったので、完全になめられていると思って

必ずしとめてやる。とおもった。
 
 次の日の夜にわなを作ろうと思って考えた、夜は水が出ないので鍋を洗うことは

出来ずその中の食べ残しを狙っていることはわかっていた。

 だから洗ってない鍋の中にゴキブリホイホイのえさを置いて、つっかえ棒を

つかって蓋を立てかけておけば、食べたときに棒に引っかかって蓋が閉まれば

大きな音が鳴るし、キッチンに走りこんで鍋と一緒に袋にぶち込んだあとに鍋を取

り出して袋を振り回して床に叩きつければ気絶して死ぬだろうし、鍋のまま火にか

けてやろうとおもった。残酷だけどそれくらい腹が立っていた。

 しかしなかなか良いつっかえ棒が見当たらない、お箸やスプーンは短すぎるし

バランスが悪い、でもお玉やしゃもじだと安定しすぎて引っかかっても蓋が閉まらない。

 そしたら名案が浮かんだ。

 昨日被害にあったスパゲティーはちょうど30センチくらいの長さでよい感じだ。

 夜中に懐中電灯を持って外に出て行って、ゴミの穴から夜露にぬれた

スパゲティーをもう一度拾ってキッチンに持ち帰りそれを10本ほど出して、

鍋の底に立てかけ、そのまま蓋のつっかえ棒にした。

 つっかえているスパゲティーの底ににゴキブリホイホイのえさを立てかけておけば

食べたときに確実に蓋は閉まるはずだ。自分って凄い!って自己満足してそのままねた。

 それから二日間その罠を仕掛けたが、ゴキブリホイホイのえさに反応しないのか

なかなか成果が上がらなかった。
 
 翌日にタンタンという足音がしたのでキッチンに攻め込むと案の定いた、

今度は流しの下に逃げ込んだので、落ち着いて入り口のドアを閉めて、

勝手口の下の隙間をシャベルでふさいでからブッシュナイフの先でゆっくりと

流しの扉を開けてみた。

そしたらすでにいなかった、どこかに逃げたのかと思ってそのほかも探して

みたけどすでにいない、よく見ると流しの下の水道管のパイプは丸いのに、

壁を四角く切ってパイプを通しているのでそのわずかな隙間から逃げているようだった。
 
 考えを整理すると、ねずみの入り口は勝手口の隙間と流しの隙間の二箇所だから

勝手口の下の隙間をスコップでふさげば逃げ場所は流しのしただけになる。

 だから次に突入したら一番に流しの下の穴をふさげば言葉のとおり

「袋のねずみ」

となる、でもキッチンの蛍光灯は点灯までに時間がかかるので、

それを待ってからふさいだのでは先に逃げられてしまう。

 左手に懐中電灯を持って右手に分厚いビニール袋を持って突入して一気に流しの

穴をふさぐことをイメージしてみた。
 
でもそしたら右手が使えないのでドアのノブを回すときに時間にロスが出るので

ビニールは最初から流しの下に置いておく。流しの扉を開ける時にもロスがでる

ので最初から扉は全開にして、殺虫剤の缶を立てて閉まらないようにしておいた。

そうすればもしブッシュナイフで届かないところに逃げ込まれたらとっさに

殺虫剤に作戦変更できる。前回の戦いで殺虫剤に効き目が少ないことは

わかっているが、相手にとって少しでも攻撃を加えることができればそれで良いのだ!

最後に流しの棚の右手にブッシュナイフを置いておけば、

右手で穴をふさいだ後にそのままブッシュナイフを握ってその後に蛍光灯を付ければ

後は一騎打ちとなるはずだ。
 
それぞれのパターンを一度シュミレーションしてみた。完璧である!

  次の日の夜タンタンという足跡が聞こえた。気持ちはすでに

「待ってました」である。

 昨日のイメージどうりに遂行したが、

流しの穴をふさぐ前にねずみが僕の足の前を走りぬけたので一瞬ひるんでしまって

穴をふさげなかった。

 反省としてはビーサンを履いていたのが一瞬の判断を狂わせたと気がついた。

もし靴を履いていればためらわずに蹴飛ばすことが出来たはずだ。

それから約1時間後、またタンタンという足音がする。

 今度はゆっくりと靴をかかとまできちんと履いた、その瞬間に心の中で

シャキーンという音が鳴った、ゆっくりとキッチンにちかずき左手に懐中電灯。

右手でドアのノブを開けて、一気に流しの下の穴まで走ってセットしてあった

ビニールを穴に詰め込んだ。その瞬間ねずみはビニールに突撃してすでに

そこがふさがっていることに驚いたあと、最後の一つの出口である、

僕が入ってきた入り口に走り出した。

しかしこちらはその行動は想定の範囲内(古いか)でねずみより先に扉を閉めた。

そしてドアのノブの隣にある蛍光灯のスイッチを入れた瞬間なぜか武者震いがして

「アオー」

と叫んだ。もう出口は無いはずだ!
 
アクション映画などの最後のシーンでそれまで長いこと武器を持って戦ってきた

二人のライバルが意味もなく武器を捨てて素手で殴りあうラストシーン

のような気持ちが心の中に沸き起こってきた!

 ゆっくりと流しの下にセットしてあったブッシュナイフを取り出し、

隅に逃げたねずみをやっつけた、そしたらそこに置いてあった使っていない

タイルがバリバリ割れただけでねずみはフロアーに逃げ出した。

そこで二発たたきつけた一発は当たったが致命傷ではなかったらしくもう

一発は床を直撃して火花が散った。

 三発目でやっとしとめた!

一週間の戦いが金曜日の夜に幕を閉じた瞬間だった。

 倒したねずみを見つめながら自分の高鳴る心臓の音を聞いていた、

ふっとわれに帰るとねずみの死体が急に恐ろしく感じられた。

 日本で素潜りの時にウツボと戦っていたら気がついたらウツボに突き刺した

モリの先が折れてウツボがモリの刺さったままこちらに向かってきたときには

相当驚いたが、今回はそれ以上に血が騒いだ。

 しかし離島で生きていく為にはこれくらいのことは出来なくては仕方ないのだ!

 先輩はラットポイズンで殺したら壁と壁の隙間で死んだので死体をとることが

出来ずに凄い異臭とハエで大変だったといっていたので、

やはりしとめるしかなかったと自分を慰めながら記念撮影のあと、

勝手口の隙間を塞いでいたスコップですくって、外のゴミ捨て穴に捨てに行った。

 これで今日からゆっくり眠れると思うとスッキリしたが逆に興奮しすぎて眠れない気がした。

 ということでそれが今週の出来事でした。
 

隣のクウィンティル


最近の悩みは日本語をどんどん忘れていくのに現地語はまったく頭に入ってこないことです。このままいくと二年後には頭の中が空っぽで、少し利口なサルレベルになってそうです。

調整員の人が麻酔銃持って島に来て、サルのように木に登っている僕を麻酔銃で撃ち落して回収して、鎖で繋ぐかオリに入れられて成田に輸送されることでしょう。

そしたら帰国時にはパスポートが必要ないね。

 
 現地に溶け込みすぎた隊員として、上野動物園か広尾のjica地球広場に展示されるかもね。


先日、モシスとクウィンティンという二人とも二歳くらいの子供が二人でなにか話しながらずっと遊んでいたのが可愛くて、写真を撮ってみました。

 次の日クウィンティンにその写真を見せてみると、自分が写っていることに気がつかずに、
「モシス!モシス!」
と大はしゃぎしたのでこっちがクウィンティンだよ。

と教えてあげたら理解できなかったみたいで、何度も教えたら、二歳なのに一人前に眉間にシワを寄せて、

「またウラがわけわからないビシュラマ語で話しかけてくる!」

 みたいな顔したので、

「今日は俺のビシュラマ語が悪いのではなくて、お前が間違ってるんだぞ!」

って思いながらもむきになっても仕方ないのであきらめました。


 でも次の日にモシスが父親と一緒に遊びにきたので、写真を見せてあげると
「クウィンティン!クウィンティン!」
と叫びながら嬉しそうにしていたので、やはりみんなおなじだな・・・
と反省しました。


 他の子供をとったときには、自分が背が高いことを知らなかったみたいで、
「俺だけ大きい!」
を連発していました。

 
ちなみにクウィンティンは隣の子供ですが毎朝ニワトリよりも早く泣きだして僕を起こしてくれます。そして庭でウンコをしています。

こないだウンコしているのを見かけてので観察してたら、こちらに気がついて、気まずかったらしく、オシリ丸出しのままズボンを抑えてユックリユックリと家の裏にいる母親の所に移動していきました。ちゃんとズボンあげてから行けよ!

ッて思ったけど、可愛くて仕方ありません。


バヌアツの子供は授業のはじめに4列横隊と作ろうとしてもそれだけで10分はかかってしまうので、授業のはじめはいつも大きな輪になって手を繋いでいます。

仲間意識が強いのでそうするとこどもは急いで教室から飛び出してきます。

 一、二年生は僕が手を繋いでいると、他の子がやってきて、繋いでいる手をチョップしたり、時には噛み付いたりして自分が繋ごうとするので、痛いけどうれしいです、

「僕にこんなに人気者になる資格なんてあるのかなー?」

なんて考えると、授業の前になんとなく目頭が熱くなって、泣きそうになります。 
そしたら急に繋いだ僕の手を引っ張るのでなにかと思ったら鼻水を人の手にこすり付けて二ヤーっと笑うので、気持ち悪くて高ぶっていた気持ちも一気にさめて、授業に集中できます。
 
 協力隊に応募したときには、小学校で教える自信がなかったので、高校とか大学とかで体育とトレーニングとかを教えたいと思っていました。

ちょうど一年ほど前に、小学校の巡回指導という要請内容を見たときには、一番苦手な分野になってしまったなー。なんて思っていたのに、今はすっかり小学校の先生です。
 
 こっちが苦手と思っていても子供はそんなこと気にしてないからいつの間にかなり切ってました、自分のいい加減さに助けられました・・・・ではまた!
 
 写真は中央がモシス、右がクウィンテルで左はウェンディです。