2010年5月10日月曜日

毎日僕に会えますよ

 舌癌、リンパ、肺と7年間続いた癌の治療もすでにこれ以上は体を痛めるだけになる

のでできません。とホスピスを紹介された親父は本当に落ち込んでいました。

 そのまま行かないで一カ月が経ち、ついに姉が予約をとってくれて僕と二人で

淀川キリスト教病院に行くことになりました。

 「入院でも良いし、通院でも良いです。」

 と言われて親父は絶対に入院しない。


 と言い張っていました。

 そして通院生活も二カ月が過ぎ、薬の副作用とか食事とか倦怠感、不安などそろそろ

 なにか改善が必要になったときに先生が提案してくれました。

 「二週間ほどホスピスに入院してもらって、薬の調整と体調を整えてから、もう一度

 家に戻る方法もありますよ」

 と言ってくれました。

 親父は入院すると二度と家に戻れないとおもっていたので、散々粘っていましたが、

 僕は既に4カ月以上も自分の時間が無かったし、床ずれによる肩こりとか、オキシコン

チンという痛み止めの副作用の便秘など限界だったので、本当は一度入院してほしい

と思っていました。 僕自身に少し時間が欲しかったです。

親父は先生に

 「入院して何か良い事があるんですか? なんでそんなに進めるんですか」

 と言いわけがましく聞いていましたが。

 先生の答えは

 「ウーン、特別なことは何も無いですけど、しいて言えば通院だと二週間に一度しか

僕に会えませんが、入院してくれれば毎日僕に会えますよ」

  結局その日は親父が粘って、先生もそんなに無理強いしなかったので、

入院はしなかったですが、帰りのタクシーのなかで親父は一言

 「ああやって患者に言えたら、あの先生はホスピスの先生としては一流やな」

 と少し嬉しそうに話していました。

 僕も本当にそう思いました。
 
淀川キリスト教病院の先生と看護師さん達には本当にお世話になったと思っています。

 

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