2010年2月23日火曜日

カイサン編

先週は一週間首都に上がってワークショップと書きましたが、その大きな目的は今回新隊員としてバヌアツに来たダイキに現在僕がやっているバヌアツでの体育の授業を見てもらうことと、この10ヶ月間の僕の失敗、駄目さ加減を真面目に説明することでした。
 活動はそれぞれ個人の物なので自由にやってもらって良いと思いますが、僕の失敗を先に教えておけば新隊員が僕と同じ間違いを起こさないことによって僕よりももう一つ上の次元で悩んでもらえたらという気持ちがあり、事務所もそのことを受け入れてくれて今回のワークショップとなりました。
 具体的に伝えた内容は、巡回先の小学校には午前中ですべての授業が終わるように時間割を組んでもらわないとこちらの体力が持たないことや、低学年から授業を始めるのではなく、高学年からはじめたほうが効果的であること。女の子はカスタムでズボンをはきたがらないので、今のところ僕はスカートでの授業参加については認めていること、巡回先の学校にはこちらからお願いして体育巡回の授業をやらせてもらっているという形になるので、指導先の学校の先生をどうやって授業に引き込んでいくのかが難しいことなどを話しました。
 
 ミーティングは月曜日でした。ダイキと僕、後は首都の大学でこれから先生になっていく学生に体育の授業の進め方を教えている隊員、カイさんの三人で始めての体育部会として話し合いました。
 今までは体育隊員は二人だったし、カイさんは大学、僕は離島の小学校だったので、お互いの活動を具体的に話し合ったのは、前回8月にアンブリムで行われたワークショップが始めてで、僕も着たばっかりで何もわからなかったし、お互いに活動の話をする機会は少ないのが現状でした。島が違うしね。
 そこに今回マレクラ島に僕と同じように島全体の体育の普及ということでダイキが派遣されるので三人でじっくり話し合う機会を設けたいということと、ダイキと僕がそれぞれの島で自分の体育の授業を作り上げてしまって、その後にカイさんと三人でバヌアツ全土を統一してと思っても、例えば教科書一つ作るのでもやり方が違うと苦労するので、一度授業を見てもらいたかったからです。
 
 カイさんはそのまとめ役といった感じです。
 僕の好きな日本でたとえると、僕は四国の体育の普及、ダイキは北海道の体育の普及、カイさんは東京の大学での教授という感じです。
 
 ワークショップは水曜と木曜日に行われましたが、今回書きたいのはそのことではなくて、火曜日と金曜日にカイさんの大学の授業に参加させてもらったことです。
 カイさんはバヌアツに二つくらいしかない大学のひとつティーチャーズカレッジに居ますが、そこで学生に体育の授業とな何か?を授業して欲しいということで派遣されていますが、教科書もカリキュラムもまったく無し、そして一コマ1時間半もある授業を現地語や英語などで授業することって僕だったら絶対できないと思います。
 教員の隊員どうしって自分が休みの時には相手も休みなのでお互いの授業を見れることは少ないので、今回はそのチャンスと思い。火曜日と金曜日にカイさんの授業を見に行きました。
 
 カイさんからよく聞いていた話は、
 「体育の授業っていっても何の教科書もあるわけではないし、日本での教員生活(たぶん10年以上)の経験を買われてバヌアツにきたとしてもそれを一時間半も講義することは難しい、でも日本と同じように保健体育とするならば、保健の授業なら結構題材あるので私はそれを活用している」
 という話を聞いていたので、実際はどんな感じかなー!
 って思って行って見たんだけど、火曜日はアルコールについて、そして金曜日はタバコについての授業でしたがはっきり行って凄かったです。
 最初に資料とパワーポイントとプロジェクターを使っての講義、資料の中に空白があってそれをパワーポイントを見ながら書き込んでいく形になっていて、学生もそれを一生懸命書いていました。
 現地語もゆっくりでわかりやすい、わかりにくそうなところは無理して自分で話そうとせず理解した生徒がほかの生徒に説明する形をとっているから生徒もみんな一生懸命だしそこら辺の技術はさすがベテランと言った感じでした。
 
 資料に書き込む授業は約45分でその後バヌアツのNGO団体の作ったお酒の作用についてのドラマ仕立てのビデオを約30分みてその後まとめをして終わります。
  約一時間半だったんですが、パワーポイントの中に日本語が入っていたので、カイさんもしかしてこれって自分で作ったんですか?
 ってきいたら、
 「その通り」
 という答えでした。一時間半の授業を作るのに8時間の準備が必要だということです。
 パワーポイントと生徒達が書き込む為の資料作りなど一から自分で行うって凄いです。
 
 それを聞いて感じたことは
 「ここまで来るまでにカイさんは自分の活動に対して相当悩んで、そしてそこから逃げずに努力して今のこの授業が成り立ってるんだなー
 結構悩んで、その後凄い努力したんだなー!」としみじみ感じました。それくらい完成度高かったです。 

 そして僕は思わず、
 「この授業を来年ウチの島でやりたい、ここまで完成度高い授業をカイさんの帰国後(来年三月)終わらしてしまうのはもったいない」
 と感じたので、来年タンナ島の高校生くらいを対象にカイさんの授業を盗ませてもらうことを考えています。
 週に5日の巡回指導は体力的に辛いと感じていたし、毎週水曜日あたりにこの授業をすれば体も休まるし、小学校以外のところで教えるこ 
 とは大切だとも感じたので。 
 
 それにしてもやっぱり協力隊にはなかなか凄い人居るもんだなー、人の授業って見に行くもんだなーと感じました。
 
 写真はカイさんと新隊員のダイキ。
 体育部会の権力図を写真にしてみた感じです。男性の権力の強いバヌアツ人がこの写真を撮っている僕らをみて喜んでました!

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