2010年3月5日金曜日

自分のスタイル


テーブルでもつくろうかな?って思って木材を買ってきてベ

ランダで音楽を聴きながらヤスリをかけていると、クレガー(6

歳)がっやってきます、

一分くらい不思議そうに僕の作業を見てから

「ウラ、何か助ける事できる?」

「ウーンそうだねじゃあ俺の反対側に座ってヤスリをかけてくれるかな?」

 二人でヤスリをかけていると、エタ、ウェンディー、バネッ

サ、ジャミラ、ロドニーがやってきて一分くらい僕らを観察しま

す、それをみてクレガーが言います

「ウラ、俺がウラを助けてるってみんなに言ってよ」

「クレガーが俺を助けてくれてるんだよ」

クレガーのお姉さんのバネッサ(8歳)が

「クレガーちょっと代わりなさい」

「嫌だよ、俺がウラを助けてるんだから」

「ウラ、私と代われって言ってよ」

「じゃあバネッサ俺と代わってあげるよ」

 っていって僕がバネッサにペーパーヤスリを渡して自分は

違う木を持ってきてしい木にヤスリをかけ始めるとエタとジャミラが

「ウラ、ミー!」

っていって代わってくれます、僕は新しいヤスリをカットして二

人に渡します

そしてさりげなく音楽を最近首都でダウンロードした映画パ

イレーツオブカリビアンの音楽に変えるとロドニーが

 「アッ!これなんか知ってる、ウラこれなんだっけ?」

 「パイレーツ オブ カリビアンだよ」

 「エッ、何?」

 「ジャック・スパロウの映画だよ」

 「エッ?あーわかった、チャック・スパロウね!」

 バヌアツはGの発音が無いのでジャック・スパローはチャッ

ク・スパローになります。

 ちなみにロバートはロペット、エスタはエタ、アルバートはア

ルペット、ジョーはチョーになりジョージはチョーチと少しだけ

可愛くなります。ジャック・スパロー約のジョニー・デップも「チョ

ニー・デップ」になってしまいます。

 周りの子供も気が付いて

 「そうだチャック・スパロウがデビルと戦う映画だ!ウラそうだよね!」

(悪役はみんなデビルになります・・・・)

 とみんなでストーリーを話し合って盛り上がります。
 
 そのうちにエタが
 
「ウラ、私のヤスリかけたところを触ってみてよ!」

 と尋ねてきます

 「完璧にできてるから次はこっちに決めの細かいので仕上

げれば終わりだよ」

 するとバネッサも

 「私のももういいよね?」

 「ウン、良いよ、新しいヤスリを今渡すね」
  
 次はクレガーが

 「ウラ、俺も新しいの!」

 でも三人目もすぐに許すと今後の仕事の質が低下する

ので、少し慎重にチェックするふりをして
 
「クレガーのはここら辺がまだだな、もう少しだけ今のヤスリで削らないとダメだね・・・」

 と言う感じにします。

 素直なクレガーはみんなに冷やかされながらも一生懸命

にヤスリをかけてくれます。
 
 そのうちにエタとバネッサはきめの細かいヤスリも終わって

次の木に移りたいと言ってきます。

 キメの荒いヤスリをもう一度うので、細かいのが必要なく

なります、でも賢いこの二人は細かいヤスリを周りに取られ

ないようにきっちりと隠しています。
 
 だから僕はここでやり方を少し変えます。
 
 「エタとバネッサはこの椅子に座って常に細かいヤスリで仕

上げるようにして、ロドニー、クレガーは荒いヤスリでドンドン

削って、終わったらエタとバネッサに渡すようにすればみんな

ひとつのヤスリだけですむでしょ、ジャミラはほうきを貸してあ

げるからそれで木のくずを掃きだすかかりね!」
 
 
みんな納得するとほっておいても作業はドンドン進みます。

 交代要員も増えてきて疲れると次に代わる事ができます

が、みんな意地になって

交代しません。仕方ないので部屋からマッチを持ってきて焚

き火をはじめます。

 「ウラが焚き火をはじめてるから落ち葉と薪を拾おう」

 と集まってきた子供たちがドンドン薪を拾ってきてくれます。

 時間は5時過ぎでそろそろ暗くなってきたし、気温も下がってきたので焚き火の炎はみんなの気持ちを明るくします。

 マーケットで買ってきたピーナッツを配ると、喜んで食べる

子供と、自分は今は働いてるからいらない、と職人のような

気持ちになっている子供もいます。
 
 6時近くになって水道の水が閉じられる時間になると、み

んなのお兄さんやお姉さんが

 「水浴びしろってお母さんが言ってるぞ!」

 と迎えにきます。

 みんなは水浴びが寒くて嫌なので、粘りますが、最近夕

方になってみんなが電気を使い出すと電力会社がパンクし

てバチン!と停電になって真っ暗になります。

 「じゃあ今日は終了ね!みんなありがとう使った道具はこの箱に入れてね!」

 となってみんな解散していきます。
 
 残された僕は、

 「今日もなかなか上手く行ったなー」

 と一人ニンマリします。
  
 
 そういうときになんとなく頭に浮かぶのは僕の仕事の体育の普及のことです。

僕の仕事である体育の普及は現在僕が一人でヤスリをか

けているのをクレガーが見ていた最初の一分の段階です。

 体育って意味あるの?ウラは何を一生懸命やってるのか

な?って観察されている状態、もう少し頑張ってれば、

 「ウラ、何か助ける事できる?」

って誰かが言ってくれそうなところまでやっときた感じです。

 それじゃあ仕事としてはダメかもしれないけど、みんなの自

主性を促す事と僕が帰国した後も継続的に続けてもらうに

はみんなに自主性を持ってもらうことが大切、

厳しく言って強引に僕のいる間だけやってもらって、僕も先

生達もみんな嫌な思いして、そして僕の帰国後はみんなに

忘れられてしまうよりも、とりあえず一人で一生懸命働くの

が自分のスタイルだと思っています。

 あとはみんながまだ声をかけてくれないのは、僕に魅力が

無いからだと思います。

 外国では自分のやっている仕事は積極的にアピールしな

いといけない、という考え方もあるし、それも試してみたこと

があるけど、やっぱりそれは自分のスタイルとは違うと思いや

めました、変えても良いじぶんとのスタイルと、変えてはいけ

ない自分のスタイルがあると思います。

 自分じゃないものになろうとすると、自分を失って自信が

無くなると感じました。

自分のスタイルで失敗した時は何かが自分に身につくと思

いますが、他人の真似をして失敗した時に残るのは、自分

を裏切ったという後悔だとおもいます。
 
 写真は夕方にみんなでヤスリをかけているところです、真

ん中に座っているグリーンのシャツがクレガー、細く光ってい

るのは木のくずです。 

 

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