2010年3月5日金曜日

大げさな絶体絶命①(無茶と無理)


今回もちょっと大げさに書きます・・・・
 
 不安と恐怖で一瞬にして体が凍りつく瞬間

それまで適度な運動で流れていた汗が急に冷や汗に変わる
 瞬間
 
 時が止まったように感じてそれまで自分の体の中で鼻歌のように流れていたリズムが消え、風や波の音が無意識のうちに鮮明に聞こえてしまう瞬間
 
 楽しくて大自然の中に居る自分が気持ちよく感じていたのに、急に自分の小ささを感じるとともに、自分の思い上がりを後悔する瞬間
 
  
   たとえば


 綺麗な海でスノーケリングしていて、ソロソロ疲れたな、と思って陸を見た瞬間に自分が海流に流されていると気が付いた瞬間
 
 海外旅行をしていて、気が付いたらパスポートと財布が見当たらなかった瞬間


 日が沈むまでガキ大将としてみんなと楽しく遊んで家に戻った時に鍵がかかっていて母親に締め出されたと気が付いた瞬間
 
 血が逆流するように感じる瞬間は普通の時に起こるのではなく、物事が上手く運んでいて、自分の力を過信してしまった時に起こることが多いと思います。
 
 そして一瞬にして恐怖が襲ってきます。
 
 本能寺で信長が光秀に殺された瞬間もそうだったのだと思います。
 
 人は死ぬ瞬間にその人生を走馬燈のように見るといいますが、その理由は死がせまったその瞬間、自分の今までの経験からそのピンチを乗り切ろうという気持ちが働いているのではないかと思います。だからきっと病院で死を覚悟していた人より、事故などで急に死がせまった人の方がそういう経験が多いのではないかと思います。 
 
 僕はまだそういう経験が無いけど、もしそうでなくって神様が思い出の為にその人の人生を振り返らしてくれるのならばきっとアルバムをめくるように生まれてたときから順番に思い出すはず、でもその瞬間から少しずつ逆に時が戻っていくという事は、やはり過去の経験の中で何かピンチを乗り切るヒントを探しているような気がします。
 
  という大げさな前置きの後で僕の小さなピンチの話をします。
 
 それは先週の木曜日、島の東側にある火山の近くの学校への巡回指導へ行く途中の出来事でした。
 
 もともとその学校(イクアルマヌ)へは月曜日に行くはずだったのですが、バイクの故障でいけず、火曜日に隣の学校(ポートレゾリューション)に巡回した帰りに学校によって「明日の水曜日に」来ます」と伝えました。
 
 片道約1時間、島の逆側なので大きな山を横断していきます。
 
 1時からの授業に12時出発して峠を目指します。
 
 火曜日の時点でバイクの調子が悪かったんだけど、連絡手段

が無いので、行かないと待ってくれている先生や生徒に迷惑がか

かるし、

 「挑戦しないで諦めることはできない」
 
 という言葉を胸に刻んで出発しました。 
 
 やはりバイクの調子は思わしくなく、峠を越えたとでオーバー

ヒート、でもそれは予想していたので準備していた
 
 水をエンジンにかけてさめるのを待ちました。
 
 待つこと30分、すでに時間は1時でした、そこで一つの選

択をせまられました。

  このまま峠を引き返して自分の村のある西側に戻るか?

  それとものままこの道を下って東側の学校を目指すか?

月曜日に行くはずだったのを変更してもらったので

 今日は行かないわけにはいけないけど・・・・
 
 でもこのまま東側に下りてしまったら帰りにもう一度峠まで
 
 登ってくることができるかどうか?
 
 迷った結果
 
 「休み勇気も必要だ・・・・・」
 
 と、やはり引き返すことにしました。  
 

  最近のバイクの主な症状は、エンジンを冷やすための冷却水
 
 とエンジンの間に入っているガスケットという薄い金属の部品が

古くなって働かないので、エンジンの中に冷却水が入り込んで
 
 エンジンが水浸し、
 
 そのせいでエンジンがかからないし、ガスケットから水と一緒に
 
 圧力ももれているのでパワーが出ない、パワーが無いのでついつ

いローギアで回転数を上げてしまう、その結果チェーンにエンジン
 
 の力を加えているスプロケットという部品に負担がかかり、削れて 
 
エンジンの力がチェーンとタイヤに伝わらないとうものでした。 
 
 体で言うなら合併症という感じです。
 
 
島の修理工場に通い、そのたびに何とか走れる状態には

なるものの、島には新品のパーツは無いので、今あるもので修理
 
 するというか応急処置しかできなくて、しかも結構なお金を取ら

れ続けています。
 
 
  すでにスプロケットの山が削れて無いのでローギアではチェーン

が滑ってエンジンがかけれないので、長い坂を利用して3速で押し

 ながらエンジンをかけることに成功しました。
 
 下ること500メートル、意外と順調に下れます。エンジンの
 
 音もスムーズ。その瞬間に心の中で、

 「きっとバイクが順調なのはお前が引き返すと決めたから気が楽
 になって順調なのだ、もし学校を目指して東の丘を下っていた らきっとこんなに順調ではなかっただろうな・・・・」 
 
 という悪魔のささやきが、エンジンが順調であればあるほど

 自分の逃げ足が速いような気持ちになってきました。
 
 
 この2週間、修理しても修理してもバイクの調子が思わしくなく

直ったから明日は行きます、といっておきながら行けなくて悔しい

思いをしたこともあり、いつ壊れるかわからないようなこのバイクが

今順調に走っているなら、このチャンスに行かないと次はいつ行け

るかわからいし、どうせ下るならどちらに西でも東でも同じだという

思いが湧き上がってしました、バイクをいったん止めて、エンジンが

止まらないように大げさに吹かしながらこの二週間の出来事や仕

事のできない焦りの感情が大きなエンジンの音と一緒にぶつかり合

いました。
 
 「無理は良いけど、無茶はいけない」
 
 と先輩隊員の言葉が頭をよぎりましたが、健康に関することで
 
 無ければ許されると思ったし、このまま戻ってバイク屋にバイクを
 
 見せても、今走ってるなら何処を修理するの?
 
 ってことになるかもしれない。
 
 イロイロ考えた結果、僕はもう一度バイクを峠という目標に

 進めることにしました。

 
  峠を越えたら後は下るだけ、時間はすでに1時15分、すでに

 遅刻だけど行かないより、行ってから謝ればそれですむ。
 
 と考えて下りだしました。 
 
 くだりはやはり順調でした。
 
 帰りにもしもエンジンがかからなかったら学校に泊まってあしたト

ラックをチャーターして戻ればよいか、と思い学校へ向かいました。
 
 心の中では自分は正しいことをしているという満足感が少し
 
 あり、なんとなく鼻歌交じりでバイクを運転していました。
 
 
 写真の左側が後日に取り替えた時のスプロケットという部品です。 右は新しいものです。

 削れてほとんど歯が無くなってました。チェーンが滑るのも仕方ないよね。よく頑張ってくれてありがとう、ネックレスのヘッドにするには少し大きいけど、そうしたいくらいい感謝しています。
 

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