2010年3月5日金曜日

ケニーと観光⑦


火山をみて本日の目標は全て達成!あとはいかに早くホテル

まで戻るかだけを目標にして走り出したドライバー

のウィリーはまったく愛情無しの、ラリーモードで走ります。
 
 前にいた三台の車を猛スピードで抜き去りました。後ろの男4

名は

 「絶対に俺達の存在を忘れている」

 と文句を言っていましたが、3台抜いてトップに躍り出ると前の

車の巻き上げる砂埃が無くなって荷台に乗っていても目を細め

なくても大丈夫に成りました。

 「なるほどね、そういう愛情があったんだね」

 とみんなで納得していると、なぜかトラックが急停車、

「なんだ!なんだ!」

と意味も無く止まっているうちに後ろの三台にまた抜かれてしまいました。

 荷台の僕らは寒いし砂埃が凄いし、ちょっと不機嫌でした。し

ばらくみんなでやけくそになって歌などを歌っていましたが、そのう

ちそれも面倒になってしばし無言の時間が続いた時、ヒロが

 「後部座席の後ろの小さな扉から暖かい風がもれてきます

よ、手をかざすと温かいですよ、きっとなかでは暖房を炊いてい

るのでしょう」

 とうれしそうに叫んでいましたが、僕はすでにお腹も減っていた

し、寒いし、とりあえずパーカーを深く被って

「そんなことには興味は無いよ」

 という姿勢を貫きました。僕は世の中の結構辛い事も我慢で

きるタイプですが、お腹が減った時だけは例外で、車の中から

漏れてくる温かい空気ですら不機嫌の対象になります。
 
 その後にどういう姿勢で座ったら一番楽に過ごせるかというコ

ンテストを4人でやって、その後に星が綺麗だというのと月が小さ

いという話をして、一気に山の峠まで上ると耳が痛くなり、それと

同時に寒さで頭痛もして、山を西サイドまで降りてきました。
 
 下り切った所で、みんなの泊まっているホテルは島の北側、我

が家は南側なので、いったん車を泊めて、ケニーに

 「俺達みんなはホテルで晩飯を食うからお前はここから歩いて村まで戻ってくれ」

 といいました、といっても歩いて30分ほどです。
 
 そのときのケニーの満足げな笑顔はまさに最初に授業を遅刻

してきたときに見せた

 「世の中には僕のことを攻めるものなんてなにも無いよー」

 というノビノビとした笑顔でした。

 「結局こいつには一日やられた・・・・・」

 と思いました。

 「浦さん寒いから中に入ってください」

 ってみんなが気を使ってくれたけど、なんかもう入るのも嫌にな

ってしまって、

 「ここまで来たから最後まで後ろで良いよ」

 と意地を張りました。

 「ケニーは今日のこの彼の人生のなかでもっとも豪華で楽しか

ったはずの一日を友達みんなにどんな風に自慢するのかな?」

 って思いながら、それでもまだ憎む気になれないケニーの笑顔

を思い出しながら僕も無理して悲しい笑顔を作ってみまし

た・・・・ 
 
 写真はポートレゾリューションでみたお花の道です。
 
 トラックでこの間をくぐりぬけました。なんかディズニーランドみた

いな感じでした。
 
 ケニーとの観光はこれでおしまいです。
 

0 件のコメント: