2010年3月5日金曜日

スポーツ哲学


バヌアツに来る前に三ヶ月ほど日本で研修があったんだ

けど、その時に体育教員とその他の専門スポーツ(たとえ

ばバレーボール、水泳、テニス、陸上、武道)の人たちで

集まって情報交換をやりましょう、見たいな企画がありまし

た、合計20名くらいで集まってテーマを決めて話合うこと

になったんだけど、そのテーマは

・個人スポーツと集団スポーツの違いは?

・スポーツは勝つことが全てなのか?

・対戦相手がいるスポーツと陸上などのスポーツの違いは?

・アマチュアとプロの違いは?

・努力と才能はどっちが大切か?

などでした、最初にテニスなどの個人スポーツをしていた隊員から、

「集団スポーツは自分がベストを尽くしてもチームメイトに

足を引っ張られて負ける事もあるし、たとえば高校野球の

タバコでの辞退のような例もあるし、純粋に自分の技術だ

けを磨けば勝てるというものではないところが難しいと感じ

る」
 
 という意見でしたそれに対して集団スポーツをしていた人

からは

「確かにそういうことはあるけども、集団スポーツでは1プラ

ス1が単純に2ではなく、3になったりそれ以上になることも

ある、そういった高まりを感じた時には凄い充実感を味わ

える事ができる」
 
 「同じような問題が対戦相手の居るスポーツにもあるの

ではないかな?たとえばサッカーなんかの場合は自分がそ

の試合にベストではなくても、相手の調子が悪ければ勝て

ることもあるし、チームメイトの調子が良くて勝てることもあ

る、そういうあやふやな部分があるよね?」

 「あるある、そういう気持ちって難しいよね、たとえばチー

ムが負けても自分がホームラン打った日は落ち込まないけ

ど、チームが快勝しても自分がそれに貢献出来ていなけ

ればそれは負けた時よりもショックに感じる事もあるも

も・・・」
 
という野球隊員の意見もありました。
 
 そこで出てきたのが陸上をしていた人の意見で

 「陸上というのは個人スポーツだし、対戦相手もチームメ

ートも居ないもので、なにと戦うかというと過去の自分の記

録と戦うものなのです。」
 
 そこで全員が納得して

「ウーン深いねー」
 
 って感じでした。

 「じゃあアマチュアとプロの違いは?」
 
ってことになって

「プロって言うのはやっぱり勝つことが全てでしょ、目的は一

つだけ、でもアマチュアはイロイロな目的があるよね、健康

だったり、ストレス解消だったり、学校の現場だったら規律

や協調性を教えたりね。」
 
 そこでプロ経験の人の意見で

「プロの世界ではナイスファウルっていう言葉があるんです

よ、基本的にはスポーツは反則はしないっていうのが原則

ですけど、プロの世界の考え方は違って反則以外は何を

しても良いという考え方になってるんですけど、でもやっぱり

日本一とかそういうレベルになると、反則もバレなければし

てもよい、というもう一歩進んだ考え方になると思います。

バレた時のペナルティーとバレなかったときに獲得できる得

点みたいなものを計算するようになります。

 だからといってその世界がメチャクチャ汚い世界というので

はなくて、そのレベルの世界での弱肉強食のルールもある

と思います。

 そのルールはスポーツの本来のルールとは他のところにあ

って、そのルールの中でプレーできる人は本当に一流だと

おもいます。
 
たとえばゴール前の接戦で本当は相手を掴んではいけ

ないところで審判にばれないところで掴んだり、掴まれたり

して、それで得点を許した時なんかに、得点をした相手に

向かって笑顔で

 「ナイスファウル!」

 って半分は皮肉を込めて言う事があります、言われた相手も

 「サンキュー!」

 ってウィンクする感じ、お互いにそういうところまで考えてプ

レーできてるところにそれなりのリスペクトがあります。

外人選手とかは結構そういうこと多いですね、でもそれって

お互いにそのレベルまで考えてしかも自分のチームを背負

っているもの同士にしかわからないようなところもあって、お

互いにそのレベルでプレーできてることに喜びを感じていると

思います」

 という多少長い意見もありました。

確かにプロボクシングとか見てるとそういう世界だなってかんじますよね。

 「なるほどねー、プロはスポーツごっこではなくて真剣勝負

だものね、生活がかかってるからね。勝てば官軍だものね」
 
 とそこまで話がヒートアップしてきたところでこれまであまり

発言をしていなかった合気道の隊員に皆が意見を求めま

した。すると

 「合気道というのは勝ち負けとかそういうものはありませ

ん、あれはスポーツではなくて「道(ドウ)」なのです、その道

を極める為に反復練習などをして心と体を鍛えているので

す。だから反則とか勝ち負けとかいうのとは根本的にありま

せん。」
 
 という日本人の心を熱くする一言が発せられました
「なるほどー!」
「深いね」
「素晴らしい」
 
という賞賛の言葉をその武道隊員ははにかみながら聞い

ていました。
 
 結局こういう話は1時間半の枠では収まりがつかず、そ

の後も食堂や休憩時間に継続して意見交換がなされて

とても勉強になりました。

 そしてそれそれの考え方は違うけど、協力隊員としての

共通点は、何か人の役に立ちたいと考えていること、その

根底だけはスポーツに対する考え方は違っても共通のも

のだと思いました。

 世界中に散らばっていった20数名の隊員達は2年間

でまた違う意見を持って帰ってきてくれることだと思います。
 
 写真は訓練中に皆でとったものです、毎朝6時半からラジオ
 
 体操とジョギング、ウォーキングがありました。
 
 僕らは秋から冬にかけてだったので、朝は寒かったです、しかも
 
 真っ暗でした。頑張れ18年度2次隊!
 
 

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