2010年3月5日金曜日

恋の悩みは世界共通


バヌアツの人は凄く自分たちのカスタムに誇りを持っていて、よくそういう話になります、特に結婚の話は好きみたいです。
 僕の任地のタンナ島では彼女は居ないの?
と聞きたい時は
「お前の洗濯物は誰が洗ってるのか?」
 と聞いてきます。
 
 基本的には男の人は洗濯をしない習慣なので、そうやって遠まわしに聞いてきます。
「僕は自分で洗ってるんだよ」
 というと、
「そうなんだ・・・」
 となんか少し可哀想な人を見るような目で見られます。
 
 結婚してるかどうか聞きたい時は
「子供は何人居るのか?」
 って聞いてきます。
「まだ結婚してないから子供は居ないよ」
 ってこたえると、なるほど結婚してないんだなと理解してくれます。 
 年齢はあまり聞かれません、あまり数の概念がないから気にしてないみたいです、年齢よりも見た目の感じで判断しています。
まあその方が自然で年齢で人を判断するほうがおかしいのかな?とも最近感じてきました。
 日本みたいに年長者を敬うような習慣はそれほど無い気がします。

 こないだまた親父達に取り囲まれて日本はどうやって結婚が決まるのか?
 ときかれました。
「昔は親が決めていたけど、今は二人が恋人になってその後に親に二人で挨拶に行って、親が気に入れば結婚するんだよ、でもほとんどの親は反対しないから問題は無いよ。」

 と答えました。すると

「それはウエスタンカスタムだ!若者が勝手に結婚相手を決めるのは良くない」
 
 と一人の親父が言い出しました。
 ちなみにバヌアツではチーフや父親が結婚相手を決めます。
そういったカスタムが少しずつ薄れている事に親父達は不満を感じているみたいでした。
 親父の説明によるとたとえば自分が隣の村の娘を好きになったとすると、とりあえず自分たちのチーフに相談する、そしてナカマルという大きな木の下に設けられた会議場でそのことについて相手方のチーフとこちらのチーフそして村人たちみんなで会議が開かれる、その場合は三通りの決め方があって、

 一つは自分に女兄弟が居た場合は、その一人を相手側の村の適齢期の男と結婚させるということで話がまとまる、
 そういった「スワップ」が上手くまとまらなかった場合は、豚を3匹くらいとバヌアツの伝統的な飲み物である、カバの根っこを3株くらい持っていけばそれでよい、
 一番最後の手段は現金で、それだと8万円になる。
という事でした、8万円という中途半端な額はなんでかな?
 っておもったけど、そこはそのままにしておきました。

「それが俺達のやり方だ、ウエスタンカスタムみたいに若者が勝手に結婚するのはけしからん!」

 そこで僕にも素朴な疑問が沸いて来て

「じゃあみんなその方法で結婚したのなら、今はみんな幸せなんだよね?みんな奥さんと上手くいってるんだよね?」
 
 って聞いたら、何故かその質問には全員が痛いところを突かれた感じで視線を落としてしばらく沈黙が続きました、そのうち一人が

「まあ俺達のカスタムもそんなにきつくないよ、少しずつ変わってきてるからさ、今はお互いが好きなら結婚できなくも無いよ・・・・」

 結局はウエスタンカスタムでもバヌアツのカスタムでも結果はあまり変わらないよね!ってことで女性の尻にしかれている男同士の妙な一体感がその場に生まれました。
 
 高校生の女の子達と話していた時にも同じような会話になりました。僕が
「バヌアツの男性ではどういう人が素敵とされてるの?」
 って聞いたら、恥ずかしがりながらも
「・ルックアウテム(面倒見がよいこと)
 ・シェアレム(分け合う気持ち)
 ・ファッシン(全般的なその人のやり方)
 の三つだと言われました」
 
 僕は三つ目のファッシンをファッションと聞き間違えて
「洋服のセンスってこと」
 といったら真面目な女子高生達は
「ファッシンとは服のセンスではなくてその人の生活や生き方のスタイルの事だ!」
 と眉間にしわを寄せて凄い勢いで正されました。
バヌアツの女子高生は純粋なのだけれど時にオバサン的な要素が強く、怖いです。
 
 「結婚はどうやって決まるの」
 って聞いたら
「昔はチーフや親が決めていたけど、最近では好きなら結婚できるようになってきたよ」

 と一人が言うと、おそらくカスタムの強い村から来たと思われる少し面目そうな子が

「私は絶対に親が決めた人と結婚する、勝手に結婚するのは良くないと思う」
 と真面目な口調で主張してきました。

 周りの女の子達はどちらというわけでもなく、まあどっちの言う事も間違ってないよと少し困った感じでしたが僕がその子に
 
 「もし親とチーフがお前はウラと結婚しなければならない!
って言ったら僕と結婚してくれる?」
 
 って言ったら、急に真っ赤な顔になって(メラネシアンだから赤くなたわけではないけど)小さな声で、でもはっきりと
「イエス・・・・」
 って答えてくれました。周りの子達は大喜びで、みんなでバヌアツ特有の奇声を上げるような笑い方ではしゃいでいましたが、なんとなく話が丸くまとまってよかったなと感じました。
 
 結局は恋愛に関しては何処の国でも本音と建前があって文明がどれだけ発展ても恋愛に関してはいつまでも発展てないのかな?ってすこしうれしくなりました。
 
 写真は7月30日のバヌアツの独立記念日の為のお祭りの時の写真です。真ん中の黒いシャツの子が「イエス」と答えてくれた女の子です。名前は知らないんだけど、真面目で良い子です。きっと彼女なら誰と結婚しても幸せな家庭を築いてくれると思います。

 

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