2010年3月5日金曜日

ウラ戻ってきたよ


写真の男の子たちは悪名高きイサンゲルのイングリッシュスクールの7,8年生です。

 昨年僕は赴任当初の2月から7月まで彼らを教えていま

した。この学校の名称は角にあるのでコーナースクールです、そ

うよばれるもう一つの理由はイサンゲルにはフランス語の小学

校がもう一校あり、そちらはフランスから援助がくるので少し格

上と言う感じでイサンゲルスクールというとなんとなくみんなそち

らを連想してしまうからです。
 
 昨年はコーナースクールの7,8年生に悩まされました。シャ

イだし、怒るとフテクサレルし、ほっておくとイジケルしなかなか

難しい年頃なのです。
 
 そして昨年7月の僕の最後の巡回授業のときにもナピルとブ

ルースという二人の男の子が授業に参加していなくて、僕は

今日が最後だからみんなに挨拶だけしたいからこっちにおいで

と言ったんだけど、最後まで木の陰に隠れて出てきませんでし

た。仕方ないので、その二人を抜きにして

「今日で僕の授業は最後になるけど、5ヶ月間ありがとう」

と言ってさよならしました。
 
 もともとコーナースクールの先生は校長とクーパー先生を除い

てはまったく体育に関心が無く、特に7,8年生の先生は黒板

に授業の内容を書いたらいつも居なくなってしまう先生達で

(誤解の無いように説明するとバヌアツ英語学校の現状はそ

れがスタンダードです)体育の授業にも顔を出さなかったのでそ

の場には担任の先生は居なくて、女子生徒達は僕が怒って

授業を辞めたのだと思ったらしく、慌てて学校に戻って先生達

に話したようでした。

 そして5年生の担任だったクーパーが慌てて僕の家にやってきました。
 
 僕は7月になって首都からバイクが届いたのでこれからタンナ

島全土に巡回するから今月で巡回先を変えるんだよ。

と話しましたが、話がややこしくなりそうだったので、午後にもう

一度学校に行って7,8年生に事情を話しました。
 
「朝一番の一年生の授業から全てのクラスで今日は最後になるよとお別れの挨拶をしてきたから、ナピルとブルースが授業に参加しなかったから来なくなるわけではないんだよ。」
 
と説明しましたが、生徒たちは相変わらずうつむいたままでした。
 
 そして悪い事にイサンゲルのフランス語学校は生徒が250

人もいて隔週で授業をしていたし、先生達も体育に関してす

ごく積極的でしかもフランス語だから通訳も必要だと言う事で

一緒にグラントでてきてくれるし、僕も1週間の巡回先5校全

てにバイクで行くのは疲れると思ったので、そのままフランス語

学校には昨年いっぱいは巡回を続けました。やはり僕としても

体育の指導に熱心な先生達と働けるのはうれしかったですし、

ここまで良くしてもらって裏切れないと言う気持ちもありました。
 
 ちなみにコーナースクールは生徒数160名ほどで、ちょうど4

コマで全ての授業が午前中の4時間で終ります。
 
 「浦はフランス語のほうにはまだ授業をしに行っているみたいだ」
 
 と同じ町なのですぐに噂が広がり、低学年の子供たちには

「何で私達だけ来てくれなくなったの?」

と聞かれることもありました。フランス語は隔週だからと言っても

なんとなく7,8年生の一件もありみんな納得してくれていませ
んでした。
 
 その後わたってきたことなのですが、バヌアツの小学校は全て

の学校に7,8年生があるわけではなくてセントラルスクールと

定められた規模の大きな学校にだけ7,8年生があり、1年生

から6年生までの学費が一学期につき500円なのに対して

7,8年生は5000円と10倍になります。
 
だいたい5校につき一校くらいの割合でセントラルスクールがあります。

 コーナースクールの場合だと一年から6年まで一学年20名

だとすると7,8年生はそれぞれ30名ほどになり2クラスあわ

せて授業をすると60名くらいになります。

 人数も多く、そして当然のように昔からコーナースクールに居

る内部の生徒達と7年生から参加してくる田舎の子供達とで

は着てる服や学力、そして時には言葉も違います。

 当然のように問題が多くなります。
 
 昨年新学期の始まった2月には僕はまったくそういう事情が

わかっていなくて、6年生までみんな良い子なのに、何故7年

生から人数も多くなるし、クラスの雰囲気もこんなに変わってし

まうのかと不思議でした。
 
 あれから1年がたち僕の活動も残りわずかとなり、そして勝

手に好きなところに巡回していたタンナ島にも続々と新隊員

達が赴任してきて現在4名、僕を含め3名が教員で一人が

漁業組合です。

 みんな着々と地元の町になじんでいき、そういう姿を見てい

ると、ここまできたら最後は地元に還元して帰国しないとな!
 
という気持ちが沸いてきました。

 11月は期末テストなので、体育の授業巡回指導は10月

でおしまい、なので8月、9月、10月は火曜日にコーナースク

ール、木曜日、金曜日はフランス語学校を半分ずつに分けて

行い、新しく行く学校は雨季の時期に巡回指導のレターを持

っていったのにもかかわらず、あまりの道の悪さに断念てしまっ

たイキティ小学校、断念した時に

「子供達にウラが雨でもバイクで丘を登ってこれるように整備させるから来て欲しい」

 とまで言ってくれたのでどうしても行こうと思い、月曜日に行く

ことにしました。

 水曜日はお休みしてます。5日連続だと声を出しすぎて耳がおかしくなるので・・・・・
 
 そして8月の初めにコーナースクールに一年ぶりに戻る事に

なったとき、最後だなーという気持ちと武者震いがしました。

 「終わりよければ全てよし!」

と言う事でこの一年でそれなりに上手になった授業の展開と

現地語で最後にみんなに喜んでもらって帰国したいと思いま

した。

 昨年は1,2年生から始めていた授業も、この8月からは7,

8を最初にしてもらって朝一番で気持ちもフレッシュでしかも気

温がまだ上がっていない時にはじめる事にしました。
 
 写真の男の子達と同じくらいの数の女の子がグランドに出て

きて、一年ぶりにみんなで手をつないでサークルを作ったとき

に、

 「ダメでも何でももうこの3ヶ月が最後だからべストを尽くそう!」

という気持ちになりました。

 目標は生徒みんなの名前を覚える事です。昨年は
 
「ユー!」

 としか呼べなかったからなんとなく距離を感じていたけど、今年は常にポケットにサインペンを入れておいて
 
 ミッシェル (黒シャツ)
 サルル  (フツナ島の子)
 カティパ  (ロウノンの兄)
 ジェームス (アフリカ顔)
 モシス    (ハナタレ)
 アントニー  (オヤジ顔)
 
 などと左腕に書いていきます。

 授業の内容もキックベースに絞ってやっているので、僕は常

にキャッチャーでホームベースの横に立っているので、みんなの

顔がよく見渡せるし、顔と名前もチェックしやすいです。

 そしてやっぱり今年も7年生からコーナースクールに入ってき

た生徒達はみんなと距離があります、住んでる村も谷を二つ

以上越えてきてます。昨年6年生だった子は顔を覚えている

から、今年から入ってきた子供を優先的に覚えました。
 
 結果的には上手く行っています。キックベースの打順も男子

が奇数、女子は偶数で最初に手のひらに書き込んでいるので

混乱もありません。
 
 みんな楽しく授業をしてくれています。1年生から6年生まで

も昨年に引き続き絶好調に楽しんでくれてます。
 
 そして授業の最後に
 
「写真撮るよ!」
 
 っていって撮ったのがこの写真です。みんな何も知らずに笑っ

てるけど、これは現在僕のパソコンの待ち受け画面です。

これだと簡単に名前が覚えられます。
 
 今週で二学期が終わり二週間のお休みに入ります。
 
 その後は三学期、僕の活動も本当に最後になります。授

業中はいつも僕がリーダーシップを取ってるけど、心の中ではい

つも感謝するとともに、みんなが楽しんでくれるようにお願いす

るような気持ちで取り組んでいます。

 結局2年間の目標だった先生達への体育技術移転は

まったくできなかったけど、いつも生徒に励まされて頑張って来

れたきがします。
 
 今の授業が上手くいってるだけでも本当に嬉しいです。残り
 
 わずか、毎日大切に活動しようと思います。
 

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