2010年3月5日金曜日

カスタム破りの家族①


バヌアツのカスタムであるカバという飲み物、昔はチーフ

や村の偉い人達の為に、青年たちが一生懸命気の根

っこを口の中で噛み砕き、それを水でこして飲むという公

衆衛生上あるまじき行為だけど、カスタムの強いホワイ

トサンズではあのキリスト教ですら禁止を徹底する事が

できなかったという怪しく、そしてタブーとされてきた飲み

物。
 
 首都などではミキサーを使って粉々にして、それを出

がらしになるまで何度も濾して一杯100円ほどで飲む

事ができますが、人が噛んだカバと比べたらウヲッカとビー

ルくらいに効き目が違うという飲み物です。
 
 やはり昔からの伝統手法で作られたカバにはそれなり

の実力があります。
 
 たまにカスタムのカバに呼ばれると、童貞の子供しか噛

み砕いたカバに直接に触れる事は許されていないので、

普段学校で言う事を聞かない腕白な子供たちが暗闇

の中でなにか反省させられているように座らされており、

噛み終ったカバをすばやく掴みとり、布に包るんでその上

に水を垂らして、良く揉んだ後に布を絞って下において

あるココナッツシェルに搾り出し、あたかも悪い事をしたか

のように闇の中に去っていく姿を見ます。


 僕が冷やかすようにその様子を見ていると照れくさそう

にしていて可愛いです。
 
 そのココナッツシェルが僕に渡されると、こちらも大そう

改まった気持ちになり、暗闇のなかで一気に飲み干す

と、無言のままで遠慮がちにそのシェルを戻します。
 
 それをみんなで順番に飲んで程よい脱力感を味わい

ながら別れの挨拶も何も無しに、懐中電灯の代わりに

焚き火の火を片手にもち、それぞれがブッシュの中に消

えていく、それが古きよきバヌアツ、タンナ島でラストカス

タムとされているホサイトサンズでのカバの飲み方です。
 
 子供は作らされるだけで飲む事は許されないし、女性

がナカマルというカバを作って飲む場所に入ることもタブー

とされています。
 
 巡回指導の二週目、先週はチーフ・ナカウとカバを飲

みまししたが、今週はナカウは首都でのチーフ会議に出

席の為に居ないので、何処で飲もうか授業のあとで学

校から歩き出しました。
 
 学校の前にいた自転車に乗った兄ちゃんと立ち話とな

り、ナカウが居ないので今週は何処でカバを飲もうか考

えているんだよ、と言ったところ、ウチのおじさんのハリー

ならカバあるよ!
 
 って紹介されてハリーの家に向かうことになりました。
 
 写真はハリーの家に向かう途中です。
 
 空と小屋と豚!丘をドンドンと登ります。
 
 

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