2010年3月5日金曜日

たき火検定



青年海外協力隊タンナ島派遣は現在男子4名です。

週末などに一時間以上歩いて我が家にみんなが集まることがあります。

といっても時間もルーズで

・「日没を目標に集合」とか。

・「腹が減ったら集合」

・「誰にも捕まらずにたどり着けたらとりあえず我が家に集合」

・「こないつもりだけど、気が向いたら集合」

・「月夜なら9時には解散して岐路だがもし月が出なければ宿泊」

・「飯は全員の到着を待たずに食べ始める。」 

などと全てがいたってルーズな感じです。

嘘をつかない為には初めからあやふやなルールにしておく事が島では大切です。

食事の後には会話以外にすることもなく、いかに会話を楽しむ

かはやはり、ムードという事になります。

そしてやはりムードが良いのは焚き火の回りということになります。

食後にその日だけはインスタントではなくてきちんとフィルターを使

ってコーヒーを落としてのみます。

男4名が狭いキッチンで食事をすると南国バヌアツでは相当熱

気が上がるしヒロがタバコを吸いたいので外に出て焚き火をしよう

というな流になります。

そこで大切なのはいかにスムーズに焚き火を作るかということです

が、そこはなかなか難しいです。

僕らの中での焚き火の定義はきちんと安定して薪が燃えている

事、落ち葉やダンボールなどに一過性の焚き火は認められずにき

ちんと薪に燃え移って、みんなが安心してその炎を見つめられると

いう状態が焚き火が完成したということになります。

そこで

「焚き火検定」

という言葉が生まれました。


4級なら時間制限も無くマッチ、ライター、ろうそく、時にはガソリ

ン(爆発してスネ毛が燃えるので、邪道だといわれています)や、

油分の多いマンゴーの葉やココナッツを包んでいるパームなど何で

も使ってよいので、とりあえず火が燃えれば4級がもらえます。


3級は時間制限があり、4級と同じ条件で5分以内に

安定して薪が燃えれば合格です。

ここまでは大抵の人が合格できるし、4級を持っていなくても3級

の受験資格はあります。

2級になると少し難しくて、ライター、ウチワ、枯葉、ダンボールな

ど邪道簡単火おこしグッズへの依存が文明に頼りすぎという理由

と焚き火検定の品格向上の理由で使用が不可になります。

文明社会との接点として与えられる三本のマッチのみでので安

定した焚き火がもとめられます。

その三本を無駄に使ってしまった場合でも5分間以内であれば、

火打石、枯れ木、偶然の雷と火山の噴火などの方法で規定の

5分以内に火を起こす事ができれば合格となりますが、その可能

性は極めて少なく、受検定料として使われる

「隊員としてのプライド」

を無駄に使ったとして、同情されるというもっとも屈辱的な気持ちを味わいます。

なので2級からは合格率は極端に下がりますし、もしタンナ派

遣の協力隊員OBの履歴書に、

「焚き火検定2級」

とあれば、それは自動二輪免許と同じ、もしくは英検2級と同じ

程度の評価を下してもらえれば個人的にはうれしいです。

ちなみに1級は相当高度で、その検定方法はのメインは

「雨の中での火を使う為の道具を使わない薪への着火、
制限時間5分以内」

という検定試験内容になります。

一級検定が2級以下と大きく違う事は着火剤は一切使えませ

んが、ブッシュナイフは直接的に火を起こす道具ではないので使用できます。

ちなみに数少ない合格者の必勝法は

検定開始同時にブッシュに入り、倒れて湿っている薪には目もく

れず、朽ちてもなお枝として幹にしがみついている、もしくは縦に

立っている薪を探し切り倒してくる事。

その薪も雨の中では表面は湿っているので、ブッシュナイフで真

っ二つに割り、内側の湿っていない部分をこすりあわせて火をおこす事。

そしてそれをすばやく枯れたココナッツの周りを囲んでいる細い繊

維でできた油分の多いココナッツパームに燃え移らせてから

湿っていない薪の内側を割り箸状に小さく裂いて燃やしその炎で

湿ったまきを乾かしつつ安定した焚き火にすること。

一級合格に大切なのは、種火への強すぎず弱すぎずという絶

妙の息の吹きかけとその際のコントロールとタイミング、合格への情

熱と豊富な肺活量が決め手になります。

これをクリアすると「焚き火検定一級」という認定がもらえます。


男4人のタンナの夜は焚き火検定の話のほかに

この4名で日本で商売をするとしたら何で儲けるのか?

1、タンナの生姜を輸出する

2、ドライマンゴーを輸出する

3、カバを輸出してカバの店(ナカマル)を下北沢にオープンする

4、チーフの娘と結婚してこのままタンナでチーフになる

5、マンタンナを煽ってバヌアツからの独立運動を起こして、タン 
ナ王国の国王になる

などといったあくまでもいい加減な今後の人生プランの会話もします。

その話題に飽きると、昔に流行った映画「スタンドバイミー」だっ

たら4人のウチの誰がリバーフェニックスの役になるか?

北斗4兄弟なら誰がケンシロウとして伝承者に選ばれるか?

バンドを組んだら誰がボーカルになるか?

またその場合はカントリーでいくのか、ロックでいくのか、ビジュアル

系で行くのか?やはりバヌアツで流行っているストリングバンドでデ

ビューすべきなのか?

というようなないようで少し口論をしてみなりしながら夜が更ける

のを無駄に待ちます。

焚き火検定とは昭和生まれの大人になりきれない隊員達のロマンの詰まった幻の検定です。

ちなみにこれと似たものに、

マンタンナ検定、ガキ大将検定、村語検定、ブッシュナイフ検定

などの検定もありまが、内容がしつこくなりそうなので、今日はこの

くらいにしておきます・・・・

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