2010年3月1日月曜日

聖地ホワイトサンズへ⑦


汚い小屋と怪しい親父達で構成される独特なナカマルの雰囲気のなかで僕が考えていたのは
 
 今日は誰の家に泊めてもらおう?という事だけ、
もともと僕はあまりカバは好きではなく、付き合い程度で飲むくらいです。でもホワイトサンズのような電気の無いローカルなところでは、カバを飲んでご飯を食べたらさっさと眠るしかやることが無いので、いつもよりは積極的に飲みます。
 
 カバはお酒とは逆に心が穏やかになり、口数亜が減りそして眠たくなります。人間って眠たくなるときって無意識で、気が付いたら眠ってしまっているけど、カバはその眠るか眠らないかの状態を楽しむような感じです。
 
 自分の意識の中でそれがコントロールできます。

 カバにどっぷり漬かろうと思えば、黙って薄暗い中で待っていればさらに深いドロンとした気持ちになれるし、今日はこのくらいでいいやと思えば、自分で自分を覚醒させる事もできます。
 
 ナカマルでカバができあがるのは夕方の4時くらいでした。僕が到着したのは3時半ごろ、それまでの時間しばし回りの親父達と話しながら、どの親父が面白そうか探っていました。
 
 ちなみにカスタムの強いホワイトサンズでは女性はナカマルへは入れません。成人男性しか飲めないのです。しかも大きな声で話してもダメ、ただひたすらみんなで焚き火を眺めながら、カバを飲みヒソヒソと話し合います。
  
 
初めに僕が目をつけたのはカバを作っていたジョンソンという人、意外と真面目そうだし、顔つきも誠実、35歳位かな?
 
 子供はきっと僕の今日教えてきてイクアラマヌに通ってると思うし、ナカマルでカバを作ってるくらいだから地元ではそこそこの地位だと思って目をつけていました。

 その時ナカマルに居たのは5、6名の親父達、怪しい日本人の出現にこいつは敵か?見方か?という視線と好奇心で、僕に直接質問してこないで一緒に居るジョナサンを通して質問してきます。
 
 ちなみにジョナサンは21歳くらいでまだ未婚です、でもガールフレンドと子供が居るみたい。一緒に住んでるそうです。結婚しない理由は、結婚する女性は親父が決めるから自分では決めれない。
 
 という事らしいです。それ以上は難しい問題みたいだから聞かなかったけど、きっと今の状態が3年ほど続いたら親父も観念して今の人と結婚して良いよ・・・・
 って言ってくれるのではないかな?
と僕だけでなくジョナサン自身も考えてるような気がしました。

 カスタムは強いけどそれなりに抜け道もあるものなのです・・・・
 そういう事情もありジョナサンの家には僕は胸を張って泊まりにいけないのです。 

 そして時間は4時半になり、僕は2杯目のカバを飲んで結構良い感じにドロンとしていました。
 
 その時に僕にジョナサンの通訳無しに話しかけてきた親父が居ました。、多分50歳くらい、他の人よりも堂々とした感じで、話題も豊富です。
 そしてこの村のことや自分たちの歴史やカスタムなどをうれしそうに僕に説明してくれました。
 
 僕はカバで少しドロンとしていたし、話も面白かったので、ウンウンとうなずいて居ました。

 そしたらご機嫌になったその親父がところでお前は今日は何処に泊まるんだ?
 ときいてくれたので、マットレスが欲しいだけで何処ででも眠る準備はあるんだけどね、とドロンしながらも意味ありげな投げかけをしました。すると親父は喜んでジョナサンを呼び、
「こいつは今日は俺のうちに泊まらすから、いまからお前は俺の家に行って母ちゃんにお前と、こいつの二人ぶんの飯の準備とマットレスを用意しておけと伝えて来い!」
 
 っと言いました。ジョナサンは僕に、

 「そういうことになったから、僕はいったんこの親父の家に行き、そのまま一度自分の家に戻って事情を説明してからもう一度迎えに来るからね。」
 といって僕を置いてナカマルから出て行きました。

  時間は5時過ぎ、何とか日の沈む6時までに寝る場所が確保できて良かった、と思うとともに、なんかこの親父をどこかで見たことあるなー、なんて思いながら、寒くなってきたナカマルの焚き火をボーっと眺めていました。
 
 

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